ハロウィン
ハロウィン。
私が子供の頃にはハロウィンなんて外国の行事でしょ?という風だったが、今ではすっかり街も周囲の人達もハロウィン一色になっていて時代の違いを感じる。
昨日の夕方、用があり出掛けたのだが、帰りの電車の中もさすがこの時期の休日というだけあって、ハロウィンの恰好をした若者がたくさん乗っていた。皆友人達と楽しそうに騒いでいる。すごく大掛かりな恰好をしている子もいた為に、周囲の普通の客には少々迷惑な気もしたが、それも許されるぐらい彼女達は明るく楽しそうだった。
思わず関心する程完成度の高い恰好をしている子がいて、私は思わず凄いなぁとマジマジ見てしまった。
こんな年齢で言うのも変だが、私ももし若ければあんな仮装をしてみたいと思う。普段あり得ない姿に変身するなんて楽しそうだ。
私は座席に座っていたが、目の前にスタジオジプリで揃えた女子高生らしき子達がいた。
トトロ、魔女の宅急便、もののけ姫、借りぐらしのアリエッティ……上手く仮装していたので、一目でその仮装が何なのか分かった。
それにしても確かニュースでは皆公園や出先で着替える人が多いと言っていたが、帰りはこの姿のまま帰るのか?人目を気にしない若さって凄い。
そう思いながら見ていると、次の駅でジプリの彼女達のうち、3人が電車を降りて行った。
残されたのは魔女の宅急便のキキ、一人。
キキはさっきまで仲間達とキャッキャと騒いでいたのに、皆が去ってしまい一人残された途端、シュンと静かになった。
周囲の他の若者達は相変わらず騒いでいる為、キキの一人ぼっち感が目立って見えた。
そして5駅程過ぎたところで、私の降りる駅となった。
私が立ち上がってドアの前まで行くと、どうやらキキも降りる様子で、私のすぐ隣に立った。
駅から私の家まではしばらく住宅街を歩く。
私はそのまま踏切を渡り、住宅街への坂道を歩いた。
前を見ると、先程のキキが歩いている。私と同じ方向へ。もしかしてキキは近所の娘なのかもしれない。それも認識出来ない程、普段近所の子供の顔を覚えていないのが情けないが。
キキはまさにあのアニメの恰好のままだった。
黒いワンピースに赤く大きなリボン。肩からは茶色いバッグを下げ、何より目立つのが大きなホウキ。
あんなホウキ、どこで見つけたんだろう?インテリアになりそうなぐらい可愛く見えた。
その姿のままズンズンと住宅街を進む光景はさすがに違和感があった。
私は彼女の少し後ろをついて行くように歩いていた。
すると、前方の方から中高生ぐらいの男子生徒の集団が歩いてきた。
彼らは仮装しておらず、その恰好を見ると野球少年のようだ。
そして彼らがキキと近付いた時、男の子の一人が言った。
「ねぇねぇ、そのホウキで飛んで見せてよ」
その瞬間、一緒にいた少年達がワッ!と笑った。
キキは無視して数歩歩いたが、突然ダッと走り出した。真っ赤な顔をしているのか、泣いているのか、俯いていて顔は見えなかったが、その恥ずかしさと悔しさを背中に感じた。
「あれ~?飛んでくれないの~?ギャハハハッ」
冷やかす少年達の笑い声が住宅街に響いた。
何だか青春だなぁ。
そのキキである女子高生は嫌な気分だっただろうが、それがあと30年もすればきっと「あんな青春があったな」と思えるのだろう。
なんだかそれら全てが羨ましかった。
私はそのまま踏切を渡り、住宅街への坂道を歩いた。
前を見ると、先程のキキが歩いている。私と同じ方向へ。もしかしてキキは近所の娘なのかもしれない。それも認識出来ない程、普段近所の子供の顔を覚えていないのが情けないが。
キキはまさにあのアニメの恰好のままだった。
黒いワンピースに赤く大きなリボン。肩からは茶色いバッグを下げ、何より目立つのが大きなホウキ。
あんなホウキ、どこで見つけたんだろう?インテリアになりそうなぐらい可愛く見えた。
その姿のままズンズンと住宅街を進む光景はさすがに違和感があった。
私は彼女の少し後ろをついて行くように歩いていた。
すると、前方の方から中高生ぐらいの男子生徒の集団が歩いてきた。
彼らは仮装しておらず、その恰好を見ると野球少年のようだ。
そして彼らがキキと近付いた時、男の子の一人が言った。
「ねぇねぇ、そのホウキで飛んで見せてよ」
その瞬間、一緒にいた少年達がワッ!と笑った。
キキは無視して数歩歩いたが、突然ダッと走り出した。真っ赤な顔をしているのか、泣いているのか、俯いていて顔は見えなかったが、その恥ずかしさと悔しさを背中に感じた。
「あれ~?飛んでくれないの~?ギャハハハッ」
冷やかす少年達の笑い声が住宅街に響いた。
何だか青春だなぁ。
そのキキである女子高生は嫌な気分だっただろうが、それがあと30年もすればきっと「あんな青春があったな」と思えるのだろう。
なんだかそれら全てが羨ましかった。
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