暗いはNG
派遣先で孤立している50代のパートの女性。
相変わらず孤立しているように見える。と言う私も群れてはいないので同じ孤立組なのだけど。
しかし彼女は週5日ペースで来ている様だし、パートは同じ仕事を分け合う場合が多いので、協力し合えない関係だと毎日が辛いと思う。その点、私達派遣は一人で黙々とする仕事が多いので、私のような無口な女でも何とかやっていける。
ある日、孤立しているパート主婦が「お先に失礼します」と退社した後、一人のパート主婦が話し始めた。パートの中では古株パート。
上司や正社員は外回りに出ていて誰も席にいなかった為気が緩んでいるのか、大きな声で周囲にいるパート達に言った。
「私もう限界よ。あの人、暗くて嫌になるわ!」
あの人とは先の新人パートの事だ。
「あんな雰囲気で毎日出勤されたら、こっちまで陰気になる」
聞いていた他のパート達は「そうよねぇ」「確かに」と話を合わせている。中には一緒に便乗する人もいて、「あの人、協調性ってものがないのかな?自分から全く話さないじゃない?」と言った。
聞いていた私はまさに自分の事を言われているようで、ジワッと背中に汗を感じた。居心地が悪い。
私への嫌味も含めて言っているのだろうか?と勘ぐる気持ちもあったが、様子を見ていると私の事など存在を忘れているようで、皆その新人パートの話題で夢中になっていた。
「あんな性格だから未婚でパートなのよ。納得だわ」
「暗すぎて雰囲気が壊れますって課長に相談してみようか?」
怖い。
女性同士のこんな会話が怖い。
大人しいというだけでここまで言われてしまうのか。
私からは新人パートは何一つ彼女達に迷惑をかけていない様に見えた。仕事は少しずつ慣れてきた様だし、自己主張をして先輩を困らせるような人物でもない。休憩中は黙って皆の顔を見て小さく頷いているだけ。
それは私も同じようなものだ。
だがそれが鬱陶しいと言われてしまう。
たとえ仕事が出来ようが、真面目に誠実に接しようが、「暗い」という事は全てをマイナスにしてしまう。
この職場だけでなく、過去の職場でも近所でも、女性達が「あの人は暗いからダメ」と言い切るのを何度も聞いた。
どうして暗いとダメなんだろう?明るい事は○で暗い事は×なんて誰が決めたのだろう?色んな人がいて当然、色んな人がいるから面白い、そんな世界になればいいのに……と暗い私は思う。
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