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何か違う

ころり

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――前回の続き。

自助会当日。

場所はこじんまりとした喫茶店。
目立たない場所にあり、客も少なそうな落ち着いた店だった。
どこかの公民館などで行うのかと思っていたが、こういった雰囲気の方が気負わなくていいかも……と少し安心する。

店に入るとカウンターに三人程客がいた。
その奥の窓際の席に女性が三人座っている。きっとあれがそうだ、とすぐに分かった。
なぜだろう?理由は分からないが、それらしき空気を発していたから。

「あの……○○会の方ですか?」と声をかけると、代表の方が静かな声で「はい」と答えた。本当に消え入りそうな声だ。
他の二人も見るからに大人しく温厚そう。その優しそうな雰囲気に私の緊張はいっきに解けた。

「あと一人来ますので……」と代表が言い、私も他の二人も静かに待った。

派遣先の人以外の他人と会うのは久々だ。
職場では煩い程の女性達の会話を聞いているので、こんなに静かに並んで座っている事に違和感を覚える。

しばらくして残りの一人が来た。
全員で五人。同年代の女性ばかり。ミーティングというよりお茶会のような可愛らしい集まりだと思った。

代表の方が仕切り、順に自己紹介を始めた。

驚いたのが、私以外は皆顔見知りだったという事。
「三回目の参加です」「私は五回目」と皆が言うのを聞いて、新入りは私だけだと分かると急に話し辛くなった。


それでもさすがSADの集まりというだけあって、数多くは語らなくていい。

私は質問された事には答えたが、新入りという事もあってほとんど聞いている時間が多かった。
そして皆の話を聞いていると、私以外が全員母親である事が分かった。30代~40代の女性が集まれば子供がいる可能性が高いのは当然。そして話題がそれになるのもごく自然な事。

徐々に話題は彼女達の母親としての悩みになっていった。
「小学校の役員が苦痛」
「ママ友と上手く話せない」

私は小さく頷きながら彼女達の話を聞いていたが、内心は「何か違う」と思っていた。
彼女達は優しく、私が子無しである事を知った為に、一生懸命小学校の行事の説明をしてくれたり、私の仕事の事を質問してくれたりと気遣いを感じる。
私も気を遣わせ過ぎないようにと彼女達の話題に興味を示し、共感しているフリをした。

でも何か違う。

彼女達は「子供の為にもっとしっかりしなきゃって思うんだけど」と言っていた。

では私は何の為に頑張るのだろう?
彼女達のように私には何の責任も背負うものも無い。
母である人の話を聞いていると、自分の愚痴や悩みなんてちっぽけな気がして何も言えなくなる。

私は最後まで心の内を話す事はなかった。
とても優しい人達だった。しかし置かれた立場の違いの溝を埋めるのは難しい。




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Posted byころり