怒りの表現

――前回(▶待たせた上にキャンセル)の続き。
電気店の人が言うには、「昨日から体調が悪くて、今日も朝から迷っていましたが無理そうなので今日の予定はキャンセルして欲しい」との事。
予想外の突然の事に驚き、ただ私は「はぁ」と間抜けな返答をした。
だが体調不良なら仕方がない。
「また体調が戻り次第連絡する」と言われ、私は「分かりました」と言い電話を切った。
そして夫に、
「体調が悪くなって来られないらしいわ。残念だね」と言った。
すると夫が猛烈に怒り始めた。
「何それ⁉どういう事だよ!」
え?だから体調が…私は説明を繰り返したが、夫の怒りは収まるどころかヒートアップ。
「それを予定の5分前に連絡してくる訳⁉」
「非常識過ぎる!」
「こっちを甘く見ているんだろ!」
出てくる出てくる。夫の不満が爆発した。
夫の言い分としては、体調不良は仕方がない。だが昨日から体調が悪いと分かっていたのなら、昨日、もしくは今日の早朝など、もっと早く連絡が出来ただろうと。5分前に連絡――というのが許せないらしい。
「でも…一応予定の時間前に連絡があった訳だし…」
私がフォローしてみたが、夫は「僕達の仕事ではそんなギリギリの時間にキャンセルなんて絶対あり得ない」と言い、挙句の果てに「よくこれで腹が立たないね」と怒りの矛先が私に向いてきた。
そして、「どうして断らなかったの?こんなルーズな電器屋に頼まなくてもいいだろ、断るべきだ」と言い始めた。
え?それ、私の役目?
私が電話をして断るの?私が怒っている訳でもないのに?
私の中で「またか」という思いがあった。
どうしてこうなるのか。
私のやる事なす事気に入らないのなら、全て夫が自分ですればいいのに。
「断るなら自分で電話をしてよ」
私の怒りは電器屋ではなく夫に向かった。
すると夫は私のスマホを取り、そのまま着信履歴から電話をかけた。
夫は電器屋に先の不満をそのまま告げ、スッパリと断った。相手に何かを言わせる隙も与えない程に。
その様子を見ていて改めて思った。
私と夫は全く違う。
腹が立つポイントも、その後の行動も。
私も内心は電器屋に、「もう少し早く連絡をくれていたら」という気持ちはある。
だがそんな事で怒っていては、逆に相手がどう思うだろう…こちらが大人げないような気がして、表面的に「良い人」として対応する。
これっていつもの私の悪い癖だろうか。
夫があそこまで怒る気持ちにはついて行けなかったが、あんな風に自分を主張出来る自由さが羨ましかった。
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