登録数1
ある日、派遣先での休憩時間。
パートの主婦達はLINEのグループトークをやっているらしく、その日も各自スマホを持ちながら何か連絡事項を送信しているようだった。
目の前にいるのだから直接会話した方が早いだろうに……と、その様子を横目に見ながら知らぬフリをしていたが、きっとパートだけの飲み会などの相談なのだろう。
すると、ある一人の主婦が「私、最近スタンプ貯まったの」と言い始めた。
他の主婦も「え?どんなの?」とお互いのスマホを覗き込みながら興味を示す。
正直私は全く興味がない。
まずスマホ自体、ガラケーと変わらず最低限の連絡ツールとしてしか使用していない。
なのでスタンプだ何だという話題で嬉しそうな主婦達に気持ちが付いていけなかった。
かといって無表情でいては悪いと思い、うっすらと微笑みつつ皆の話を聞いていた。
すると、隣にいた主婦が「ころりさんも最近LINEしてるんでしょ?」と話を振ってきた。
「えぇ、まぁ少し」と答えると、
「時々友達のタイムラインに自分の写真が載せられちゃって慌てる事ってない?この前それがあってビックリしたのよ。ころりさんは友達にタイムライン公開してるの?」
……。
タイムライン。そんなものがあったのは何となく記憶している。
だが私がLINEに登録しているのは夫ただ一人なのだ。それも必要な連絡をするだけで写真もスタンプも絵文字さえ使っていない。私にとってはそれで充分であり、それ以外の事に興味はない。
「うーん、私あまりLINEって使いこなせていないんです。よく分からなくて」と返した。
するとその主婦は「あ、そうなの?あのね、タイムラインっていうのはここでこんな風にね……」と親切に自分のスマホを見せて説明しようとしてくれた。
折角なので私も興味ありげに彼女のスマホを覗き込む。
すると彼女のLINEの友達数の多い事。
ズラリとどこまでも続く友達の名前を指で送りながら、「例えばねこの人なんかね」と説明して見せてくれるが、私はその説明よりもその登録数の多さに驚いた。
そうして相槌を打っていたのだが、その主婦が次に言った言葉に私は焦った。
「ちょっところりさんのスマホ見せて。スタンプの貯め方も教えてあげるわ」と言うのだ。
私は咄嗟に登録数が「一人」だと知られたくないと思った。
恥ずかしいと。
きっと彼女のような社交的な人からすれば私のような閉鎖的な人間関係は信じられないだろう。彼女だけでなく、その場にいたパート主婦達は似たような感じで、私のような登録数が一人の人なんている訳がない。
私は何とか必死に逃れようと、「でも私本当にスタンプとか使わないので」と断り、意地でも自分のスマホを見せなかった。
LINEに登録する友人がいない事が恥ずかしい。
そう思う自分がもっと恥ずかしい。
するとその主婦は「あ、そうなの?あのね、タイムラインっていうのはここでこんな風にね……」と親切に自分のスマホを見せて説明しようとしてくれた。
折角なので私も興味ありげに彼女のスマホを覗き込む。
すると彼女のLINEの友達数の多い事。
ズラリとどこまでも続く友達の名前を指で送りながら、「例えばねこの人なんかね」と説明して見せてくれるが、私はその説明よりもその登録数の多さに驚いた。
そうして相槌を打っていたのだが、その主婦が次に言った言葉に私は焦った。
「ちょっところりさんのスマホ見せて。スタンプの貯め方も教えてあげるわ」と言うのだ。
私は咄嗟に登録数が「一人」だと知られたくないと思った。
恥ずかしいと。
きっと彼女のような社交的な人からすれば私のような閉鎖的な人間関係は信じられないだろう。彼女だけでなく、その場にいたパート主婦達は似たような感じで、私のような登録数が一人の人なんている訳がない。
私は何とか必死に逃れようと、「でも私本当にスタンプとか使わないので」と断り、意地でも自分のスマホを見せなかった。
LINEに登録する友人がいない事が恥ずかしい。
そう思う自分がもっと恥ずかしい。
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