精神論
昨日、朝早くに電話が鳴った。
ナンバーディスプレイに実家の母の名前が表示されている。
あぁ、またか。
母は定期的に私に電話をかけてくる。
昨日は居留守を使った。
とても母の声を聞く気分ではない。
最近心も体も調子が悪いので、全く何もする気がなく現実逃避で寝てばかり。
昨日も朝から夜までほぼずっと寝ていた。体に悪いと分かっていても、起きていると心がザワついて苦しいから。
もし母の要件が重要なものだったら、留守電に入れるかメールが来るはずだ。多分いつもの無駄話に違いない。そう思い電話の事は忘れようとしていた。
すると今朝、また昨日と同じ時間に電話が鳴った。やはり母からだ。
二日連続で早朝からかけてくるとなると、もしかして何か連絡したい事があるのかもしれない。もしや母の体調に問題が?
そう思うと電話に出るしかなかった。
電話を取り、私は咄嗟に聞いた。
「どうしたの?」
「あ、やっと出た。昨日も電話したのよ。別に用はないの。元気かなと思って」
なんだ……。こんな事なら電話に出なきゃ良かった。
母は続けた。
「時間があったら今からうちに来なさいよ。友達にもらったケーキがあるの」
とてもそんな気分じゃない。
「……最近調子が悪いからまた今度」と私は答えた。
すると母は、どこがどんな風に体調不良なのか?仕事には行っているのか?夫婦は上手くいっているのか?次々と追及してくる。
いつもの事ながら私は上手い嘘でかわす事も出来ず、真正面から返答してしまう。
そして母が更に私の心に踏み込んでくるという悪循環。
「ころりはね、悩み過ぎなの。誰だって大変な事を抱えているわ。こんな時代だから特にね。知人の娘達も大変そうだけど子育てしながら頑張ってるわよ。みんな強いわ」
私がアドバイスや意見を求めていないのに、一人で語り始める。どう生きるべきかという精神論まで。
とにかくそっとしておいて欲しいのに。母は母で元気に暮らしているならそれだけでいいのに。
そんな心の思いを何一つ言葉に出来なかった。
ただただ受け身で貝のようにジッと母の言葉に耐えた。
母との距離感を上手くとれない私が未熟なだけ。
母に一切何も知らせない、悟られないまま母と話す事が出来るよう、もっと強くなりたい。
母は続けた。
「時間があったら今からうちに来なさいよ。友達にもらったケーキがあるの」
とてもそんな気分じゃない。
「……最近調子が悪いからまた今度」と私は答えた。
すると母は、どこがどんな風に体調不良なのか?仕事には行っているのか?夫婦は上手くいっているのか?次々と追及してくる。
いつもの事ながら私は上手い嘘でかわす事も出来ず、真正面から返答してしまう。
そして母が更に私の心に踏み込んでくるという悪循環。
「ころりはね、悩み過ぎなの。誰だって大変な事を抱えているわ。こんな時代だから特にね。知人の娘達も大変そうだけど子育てしながら頑張ってるわよ。みんな強いわ」
私がアドバイスや意見を求めていないのに、一人で語り始める。どう生きるべきかという精神論まで。
とにかくそっとしておいて欲しいのに。母は母で元気に暮らしているならそれだけでいいのに。
そんな心の思いを何一つ言葉に出来なかった。
ただただ受け身で貝のようにジッと母の言葉に耐えた。
母との距離感を上手くとれない私が未熟なだけ。
母に一切何も知らせない、悟られないまま母と話す事が出来るよう、もっと強くなりたい。
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