横柄な人





―――前回の続き。

若社長が言っていた通り、作業が始まると日々入れ替わりで色々な業者が来るようになった。

足場を組む業者、洗浄する業者、ペンキを塗る業者――それぞれが違う会社の人らしく、毎日違う顔に挨拶する為なかなか慣れず、その二週間は家に居ても常に落ち着かなかった。

しかしこんな小さな家でも、塗装後はどんなに綺麗になるのかと想像するとほんの少し楽しみでもある。屋根と壁の色や種類は、最初の打ち合わせで若社長に伝えてあった。

グリーンの屋根にホワイトの壁。雨戸やその他の細かい部分も、壁に合わせてホワイトにした。ペンキは色を選ぶだけでなく、艶の有無も選ばなくてはならない。

私は落ち着いた感じが好きなので、「艶なし」でお願いした。

しかし最初の頃から、この若社長の段取りの悪さが気になっていた。
最初の打ち合わせの時には何度か家に来てくれたが、その後は早朝から外注業者が来るだけで、一向に社長からの連絡はなかった。

なので今日は一体何をしてもらえるのか?明日は誰が来るのか?進捗状況が全く分からない。
それでもそれぞれの業者達は想像していたより良い人達ばかりで礼儀正しく、その若社長より余程丁寧な対応をしてくれたのが救いだった。

ある日の朝、ペンキ屋に声をかけられた。

「奥さん、この色で良いですよね?」とペンキの入った缶を見せられた。

確かに私がカタログで指定していたホワイトに間違いなさそうだ。私は「はい、それでお願いします」と答えた。

そして夕方になりペンキ屋が帰ると言うので、私は外に出て彼を見送った。その後、どれ程綺麗になっただろう?と、改めてじっくり家の外壁を見直した。

すると……。


テカってるっ!
これは明らかに「艶あり」のペンキで塗られていると分かった。

最初に若社長に「全て艶なし」とお願いしていたはず。それがペンキ屋に伝わっていなかったのだろうか?私も塗る前にペンキを確認したが、素人に艶の有無なんて塗ってみないと分からない。

しばらく呆然とその場に立ち尽くして見ていたが、よく考えればそのうち雨風で汚れてしまえば艶の有無なんてどうでもよくなるだろう。
何より塗ってくれたペンキ屋の男性がとても感じの良い人だったので、苦情を言って彼に迷惑があっては申し訳ないと思った。

これでもいいわ。そう納得した。

その時、あれ程顔を見せなかった若社長が突然やって来た。1週間以上連絡もなく放置状態だったので、内心私は「やっと来たか」と思ったが、顔に出さず笑顔で挨拶した。

すると若社長は家を見て、「え?もう塗ったのですか?それも艶ありじゃないですか‼」と急に興奮し始めた。

「艶なしを希望されていましたよね⁉」と若社長。
「はい。そうですけど……でもこれでもいいです、目立たないし」と私は答えた。

それでも若社長の興奮は収まらず、「だいたい今日は塗るなんて聞いていませんよ!」と、火を噴いたように怒り出した。

「でも私は今日の朝、ペンキ屋の方に確認されたので……」と私は言った。

すると更に若社長は怒り出し、

「だから!最初に言いましたよね⁉直接外注業者と決めて進めないで下さいって!こういう事になるから最初に注意しておいたんですよ‼」

はぁ???
これって私が怒られる事?

流石に私は納得出来なかったが、若社長の怒り方が怖すぎて何も言い返せなかった。
「すみません、でももうこのままでいいので……」と言うのが精一杯。

結局外壁塗装で家は綺麗になったものの、後味の悪い結果で終わる事となった。
それにしても客に対してあれ程横柄な態度が出来る人がいる事が驚きだった。




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Posted byころり