犬を他人の家に入れるという事。価値観の違い
――前回の続き。
夫の古い友人が私達夫婦を自宅に招待してくれた。...
その友人宅は立派な豪邸だった。
有名な住宅メーカーのものだけあって、モデルハウスのような広さとお洒落さ。
外観を見た瞬間、羨ましいと思うと同時に、こんな綺麗な家に犬を連れてきてしまい恐縮するような気持になった。
車を駐車すると、家の中から友人夫婦が出てきてくれた。
「いらっしゃい」「お久しぶりです」
挨拶をした後、しばらく家の外で立ち話となった。
夫同士は家の話をしている。
広さはどれぐらいだとか、外構にはいくらかかって大変だったとか。その友人はとても気さくな人で、自慢するようなタイプではない為にどんな内容を聞いても嫌味にはならない。
私は愛犬を抱いていたので、友人の奥さんがすぐに「可愛いですね」と言って笑顔で愛犬を撫でてくれた。
「すみません、お言葉に甘えて連れて来てしまって……」
「全然大丈夫ですよ。私達も犬好きだから」
そんな会話をしていたが、外でいつまでも立ち話をするには寒すぎた。
友人夫婦が「では、中にどうぞ」と言い私達を家の中に招き入れてくれた。
そしてそれと同時に、
「犬はそのポーチのところに繋いでくれていいですよ」と言った。
私達夫婦は目が点。
まさかこの寒空の夜に、犬を外に繋いでおく?
想像もしていなかったその言葉に、私も夫も言葉が出ない。
だがあちらは全く悪気がない様子で、ニコニコと笑っている。
夫は苦笑しながら言った。
「うちの犬、寒がりだから外はちょっと……」
一瞬あちらの夫婦も言葉に詰まり、4人の間に白けた空気が流れた。
だがすぐに友人が気を利かせ、「そうか、それなら玄関の中に繋いでおいてもらっていいかな?」と言った。
これが彼の精一杯の気遣いなのだろう。
私達が家の中にまで犬を上げていいか?と確認しなかったのが悪い。「犬を一緒に連れて行く=犬も家に上がる」だと思い込んでいた。
彼らは本当に悪気がない。話していても、良い人達だと伝わってくる。
だが動物に対する価値観や、想いに違いがあるのは仕方がない事だろう。
特に飼った事があるのとないのとでは大きく違う。
現に彼らも「私達も犬が好きで」と何度も言っていた。それは彼らなりの「好き」の範囲であって、だからといって人と同等に家の中に入れるというのはまた違う話なのだろう。
夫も私もそれ以上何も言えなかった。
内心は私だけでも犬を連れて帰らせてもらおうかと思ったが、さすがにそれは夫の友人に対して失礼だ。
私達は愛犬を玄関の中に入れてもらい、愛犬を夫の着ていた防寒着で包まった。
心の中で愛犬に「ごめんね、ちょっとだけ待っててね」と言った。声には出さず、ただ愛犬の目を見つめた。
愛犬を玄関に残し、私達だけリビングに入る。
友人の奥さんが用意してくれていた食事はとてもお洒落で美味しそうだったが、正直なところ愛犬が気になって味も何も分からなかった。
友人夫婦との会話もどこか気もそぞろで、時間を早送りしたい気持ちでいっぱい。
夫もきっと一緒の気持ちで、こんな私達と話していてもあちらの夫婦は楽しくなかったんじゃないかと思う。
ようやく帰宅する事となり、笑顔で別れを告げ愛犬を抱いて車に乗り込んだ。
愛犬の体は冷え切っていた。
私達夫婦も疲れきっていた。
もう二度と一緒に連れてくる事はないだろうと思う。
だが愛犬は私達と一緒に出掛けられたからか、暗い車内で表情だけは嬉しそうに笑っていた。
だがすぐに友人が気を利かせ、「そうか、それなら玄関の中に繋いでおいてもらっていいかな?」と言った。
これが彼の精一杯の気遣いなのだろう。
私達が家の中にまで犬を上げていいか?と確認しなかったのが悪い。「犬を一緒に連れて行く=犬も家に上がる」だと思い込んでいた。
彼らは本当に悪気がない。話していても、良い人達だと伝わってくる。
だが動物に対する価値観や、想いに違いがあるのは仕方がない事だろう。
特に飼った事があるのとないのとでは大きく違う。
現に彼らも「私達も犬が好きで」と何度も言っていた。それは彼らなりの「好き」の範囲であって、だからといって人と同等に家の中に入れるというのはまた違う話なのだろう。
夫も私もそれ以上何も言えなかった。
内心は私だけでも犬を連れて帰らせてもらおうかと思ったが、さすがにそれは夫の友人に対して失礼だ。
私達は愛犬を玄関の中に入れてもらい、愛犬を夫の着ていた防寒着で包まった。
心の中で愛犬に「ごめんね、ちょっとだけ待っててね」と言った。声には出さず、ただ愛犬の目を見つめた。
愛犬を玄関に残し、私達だけリビングに入る。
友人の奥さんが用意してくれていた食事はとてもお洒落で美味しそうだったが、正直なところ愛犬が気になって味も何も分からなかった。
友人夫婦との会話もどこか気もそぞろで、時間を早送りしたい気持ちでいっぱい。
夫もきっと一緒の気持ちで、こんな私達と話していてもあちらの夫婦は楽しくなかったんじゃないかと思う。
ようやく帰宅する事となり、笑顔で別れを告げ愛犬を抱いて車に乗り込んだ。
愛犬の体は冷え切っていた。
私達夫婦も疲れきっていた。
もう二度と一緒に連れてくる事はないだろうと思う。
だが愛犬は私達と一緒に出掛けられたからか、暗い車内で表情だけは嬉しそうに笑っていた。
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