隣の芝生
古い友人からメールがきた。
学生時代には仲が良かった友人。
結婚してからも、しばらくは頻繁に連絡を取り合っていた。
だが彼女が母になってから、私達はほとんど会わなくなった。
お互い会話も合わないだろうと気を遣いあったのか連絡を取り合わなくなり、年賀状友達となった。
そんな彼女からの連絡。
「久々にころりの家に行きたい」と彼女が言うので、私の家でランチをする事になった。
久々に会った彼女は、とても明るかった。
ケタケタと大声で笑い、ノリが軽くて楽しい人だった。昔もこんな人だっただろうか。
いつも静かなこの部屋が、彼女の声が響く事で違う空間になったように感じた。
彼女は楽しそうに日々の暮らしぶりを話してくれた。
もちろん、私の生活も「どう?」と聞いてくれたが、鬱のハナシとか、不妊のハナシとか、貧乏なハナシとか……私には楽しいハナシはなかった。
途中、彼女の携帯は何度も鳴っていた。
「ごめんねー」と言いながら、チェックする彼女。友人からの連絡が多いらしい。
私は別に嫌な気分になった訳ではない。
ただ、彼女と私は随分変わってしまったんだと感じた。
昔は同じような暮らし、同じような会話をしていたのに、私だけがあの頃から成長していないような、そんな気分。
彼女には、ママ友、仕事友、近所友、など多く、付き合いが大変らしい。
その上、毎日子供の世話で忙しく、ゆっくり寝る暇もないよ、と苦笑いしていた。
夫は有名企業に勤め、うちの夫に比べればずっと収入がいい。
でも、「貯金なんてどれだけあっても安心できないでしょ?」と言い、夫が時々無駄遣いする事を愚痴っていた。
「うちなんてボーナスも貯金も無いよ」と言うと、「えーっ!?嘘!本当にゼロ?大変だね……」と絶句していた。
私はただただ、彼女が羨ましかった。
彼女はまっすぐ、よそ見をせず一生懸命生きてきた。
その努力が実って、色々と手にしているだけ。
でも、彼女が持っているものは、私には何一つ無いように思えた。
こういうのを妬みというのだろうか。
隣の芝生は青いというが、彼女から見て、うちの芝生は青く見えるのだろうか。何もない気がする。
他人を羨んでばかり。自分でもこんな自分が本当に嫌いだ。
でも、「貯金なんてどれだけあっても安心できないでしょ?」と言い、夫が時々無駄遣いする事を愚痴っていた。
「うちなんてボーナスも貯金も無いよ」と言うと、「えーっ!?嘘!本当にゼロ?大変だね……」と絶句していた。
私はただただ、彼女が羨ましかった。
彼女はまっすぐ、よそ見をせず一生懸命生きてきた。
その努力が実って、色々と手にしているだけ。
でも、彼女が持っているものは、私には何一つ無いように思えた。
こういうのを妬みというのだろうか。
隣の芝生は青いというが、彼女から見て、うちの芝生は青く見えるのだろうか。何もない気がする。
他人を羨んでばかり。自分でもこんな自分が本当に嫌いだ。
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