洞窟おじさん





ある日の夜、眠れずにDVDレコーダーの電源を入れた。

私は映画好きなので、DVDレコーダーにある機能の「キーワード録画」を利用している。

「映画」「シネマ」と登録しておくだけで、それに関する放送が自動的に全て録画されるので便利。かといって録画された映画を全て観る訳ではない。興味のないものまで録画されてしまう為、結局タイトルだけチェックし、8割以上は観ずに削除しているように思う。

この日も古い映画や興味がなさそうなものをサクサク削除していった。最近チェックせずに放置状態だったので随分録画がたまっている。

そうして遡ってチェックしていると、あるタイトルが目に留まった。

「洞窟おじさん」

日付を観ると随分前に録画されており、昨年の11月。

何だろう?でも聞いた事がある。確か実話だったような……
そしてどこかで宣伝でも見かけたのか、主演されているのがリリー・フランキーさんだというのも記憶していた。

うーん、これも削除か。
正直あまり興味がなかった。勝手なイメージで、コミカルでコメディっぽい映画だと思っていた。明るい映画を観る気分ではない。

しかしなんとなく気になるタイトル。
そしてリリー・フランキーさんが演じる洞窟おじさんとはどんな姿なのか?
それだけ見てから削除しようと、少し早送りをしてから10分ぐらい観てみた。

するとどんどん話に引き込まれた。
これは良さそうな映画だと思い最初に戻し、早送りせずにじっくりと観始めた。

洞窟おじさんは子供の頃、両親から虐待され、13歳という幼い年齢で家出する。
そしてなんと43年間も山奥で一人孤独に暮らすのだ。

設定だけ聞くととても重い内容のような気もするが、リリー・フランキーさんが重すぎず軽い感じで演じられている為、どこか面白く、それでいて人間の強さと孤独も感じさせられた。


映画を観終わった後、とても心に残った作品だった為に、私はネットで「洞窟おじさん」を検索した。すると、これは映画ではなくNHKが以前放送していたドラマを全話続けて再放送したものだったと知った。
たまたまこのドラマを観る事が出来て良かった。



洞窟おじさんはかなりの有名人らしい。
私の中では旧日本兵の横井さんや小野田さんなどの記憶と混同していたが。

だが洞窟おじさんを知れば知る程、旧日本兵や動物に育てられた野生児とは違う、人間の悲しさみたいなものを感じる。
それは洞窟おじさんが元々、私達とさほど変わりのない生活をしていた人間だったからだろう。年齢も丁度私の親と同じぐらいの歳だ。この昭和から平成の時代にそんな事が?
ある日突然山奥で暮らせるだろうか?それもそんな何十年も?と信じられない気持ちになる。

洞窟おじさんが私達と全く同じ時代を、全く違う生き方をしていた人だからこそ、皆この話に興味を持つのだと思う。

洞窟おじさんはその後、施設で生活されているらしいが、最初は何度も施設から山に逃げ帰ったらしい。
私はそれを読んで、とても切なくなった。

ドラマの中で、洞窟おじさんが「洞窟で一人で怖くなかった?」と聞かれるシーンがある。
するとおじさんは「怖いのは我慢出来たけど、寂しいのが辛かった」と答える。

そうだろうと察する。
全く人との関わった事のない野生児状態ではない。13歳までは人と関わり暮らしていたのだ。「孤独」というものを知っているのだ。それに耐える事が凄い事だと思う。

なのに、折角43年も経ってから人に迎えられ、孤独から解放されるというのに、山に逃げ帰ってしまうという行為。その気持ちがなぜか分かるような気がして、だからこそ切なかった。

人と関わるのは面倒で時に怖い。
全くレベルの違う話だが、私も本当に人と接する事なく人生を過ごせたらどんなに楽だろうと思う。人と関わるから比較する。そして落ち込み、悩む。

そんな事から解放され、例えば誰も私を知らない海外で暮らしてみたいと思う事もあった。

洞窟おじさんは人としての生活をやり直すチャンスが何度もあったのに、自らそれを捨てて逃げていた。逃げれば逃げる程、更に人は怖く、関わりたくなくなるような気がする。

いつか本当の一人ぼっちになるのが不安でたまらないのに、人と関わりたくないという反比例した気持ち。そんな私が観る「洞窟おじさん」は心に残るドラマであった。




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Posted byころり
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