現実逃避






私は昔から映画を観るのが好きだ。

最近好きになった観劇の場合は目の前で人が演じるのだから、そればかりは劇場に行ってこその感動だろう。だが映画はほとんどDVDで観る。

若い頃には映画館にもよく行った。なので映画館の良さは十分分かっているが、最近は夜中に一人ソファに座り、その世界に入り込んで涙したり笑ったりするのが落ち着く。
何よりその観ている時間は現実感がないのがいい。

だから観るのは洋画が多い。自分とは全く違う別世界。
邦画だと「かもめ食堂」や「三丁目の夕日」のような、自分の日常生活とは違う世界観があるものが好きだ。

そういう意味では、最近の日本のドラマは観る事は観るが、別世界に行けるか?と言われれば、なかなかそういうドラマは少ないように思う。
すぐ隣にありそうな身近な日常を、推理小説や少女漫画のように脚色しただけで、そのドラマの舞台自体が身近過ぎて、自分の日常を重ねて観てしまう事の方が多い。

なのでどこか冷めた目で観たり、現実感が強すぎて落ち込んだり、羨んだり、考えさせられたり。ストレス解消にはなり辛い。


その点、朝ドラや海外ドラマはいい。

だが朝ドラが好きだと言っても、これも時代背景が現在だと最初から一度も観なかったりする。逆に、朝ドラに多い明治大正、昭和初期といった内容だと俄然観る気になってくる。

海外ドラマも同じ。
歴史劇や、ファンタジー、ミステリーなどの現実とかけ離れているものがいい。

今観ている海外ドラマで好きなのが、「ダウントン・アビー」「ワンス・アポン・ア・タイム」「アンダー・ザ・ドーム」など。思いっきり現実感なし。

これを夜中に観るのが私の変化のない日常で小さな楽しみとも言える。


そしてある朝、朝ドラ「あさが来た」を観てから派遣先に出勤した。

この日の昼休憩、珍しくあるパート主婦と二人きりになった。
子持ちで私とほぼ同年代のその女性。あまり自分から話さないタイプなので沈黙が息苦しい。
しかし共通の話題は何もない。

私は思い切って自分の好きな事を話してみた。

「私、海外ドラマ好きなんですよ。ダウントン・アビーって知ってます?」

「……さぁ。海外ドラマって観た事ないから」

「今やってる朝ドラとかは?」

私の中では精一杯の話題提供のつもり。それと心のどこかで、どの主婦ともなかなか共通点がない為に、もし同じドラマを観ている人がいたら、それがきっかけで楽しく会話出来る事があるかもしれないと淡い期待があった。

しかしそのパート主婦の返事は愛想もなくグサリ。

「朝って……子供の支度で忙しくって戦争状態よ。ドラマなんて観てる暇無いに決まってるじゃない。いいわねぇ、朝からまるで独身時代のように自由で」との事。

それが働く主婦、子持ち主婦の現実だろう。

ドラマや映画が日常の唯一の楽しみだと言っている自分がとても虚しく感じた。
毎夜DVDでつかの間だけ別世界に行き、現実逃避。
だが現実逃避すればする程、現実社会に戻った時に、自分には何もないのだと実感する。

現実逃避しなくても、リアルな生活が楽しい人が羨ましい。
リアルな幸せを実感出来る人が羨ましい。




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Posted byころり