初売りセール
――前回の続き。
「これにする」
母は一着、厚手のセーターに決めたようだった。
「うん、いい感じだよ。他にももっと買えば?折角安くなっているのに」と私は言った。
「そうねぇ」と母は言いながらも、もう自分の事よりも私の服ばかり選ぼうとしている。
「私はいいよ。服は決めるのに時間がかかるから欲しくなったらまた一人で買いにくるわ」と私は言った。
すると母は「他に何か欲しいものないの?それこそ折角来たのに何か買えば?」と返された。
そう言われて、私はもう1年近く前からバッグを買い替えようと思っていた事を思い出した。今使っているバッグがかなりボロボロなのだ。
「じゃあバッグでも見ようかな」
「いいわね、行きましょう」
バッグ売り場に着くと、これがまた人でいっぱい。
洋服のエリアもかなり人が多かったが、バッグや靴というのは通常価格が高いからか値引き率がいいからか、よく分からないがそのバッグ売り場は人で大混乱だった。
バッグと言えば価格はピンキリ。
安い布バッグもあれば、高級ブランドバッグまで。
初売りセールのバッグ売り場。やはりほとんどの商品が値引きされている。
母に付き合う為に来たショッピングだったが、バッグを見ているとこのタイミングで来て良かったと思った。
またもやあの年末の時のように「今買わなきゃ損」という精神がムクムクと湧いてくる。
多くの女性客が次々とバッグを手に取り、一人でたくさん腕にぶら下げてキープしている人までいて、これは早く探して買わないと気に入った物が無くなってしまいそうだ。
その中でとても気に入ったバッグがあった。シンプル、質感・デザイン共に好み。
だが、これだけ多くの商品が値引きされているというのに、このブランドだけは全く値引きされていなかった。私が気に入ったその商品も、35,000円程だったが値引きなし。
高級ブランドバッグを思えばこれでも安いのだろうが、私にとっては高い買い物。だが許せる範囲の価格でもあり、使いやすそうだ。これがもし初売りセールでなければ、思い切って買っていたかもしれない。
しかし、周囲にはたくさんセールされている商品があるというのに、わざわざこの日に来て定価で購入するというのが勿体なく感じる。
そうして悩んでいる間も、隣で母が「これはどう?」「これも可愛いけど」と、次々とバッグを選んでくる。自分の服を選んでいた時よりも更に楽しそうで、いつの間にか母まで腕にたくさんバッグをキープしている人になってしまっていた。
色々選んだ中で、私は一つの商品にほぼ決めかけた。
それも通常は35,000円程だが、セールで30%オフ。お得感がある。
「絶対にこれがいいわ!シンプルだしお洒落だし」と、母もそのバッグが気に入ったようだった。
最初に気に入っていたセール除外品のバッグが名残惜しい気もしたが、安さには勝てない。その30%オフのバッグを購入する事にした。
精算しようとすると、母が隣で「お年玉代わりに払わせて」と言って譲らない。
だがそこまで甘えてしまうのはこの年齢でどうかと思うし、親孝行のつもりで買い物に付きあったはずが、まるで私の物を買ってもらう為に来た様になってしまう。
「これぐらい自分で払うから大丈夫」と言って断った。
母は幾つになっても母らしい事をしたかったのだろうか。
だが、これだけ多くの商品が値引きされているというのに、このブランドだけは全く値引きされていなかった。私が気に入ったその商品も、35,000円程だったが値引きなし。
高級ブランドバッグを思えばこれでも安いのだろうが、私にとっては高い買い物。だが許せる範囲の価格でもあり、使いやすそうだ。これがもし初売りセールでなければ、思い切って買っていたかもしれない。
しかし、周囲にはたくさんセールされている商品があるというのに、わざわざこの日に来て定価で購入するというのが勿体なく感じる。
そうして悩んでいる間も、隣で母が「これはどう?」「これも可愛いけど」と、次々とバッグを選んでくる。自分の服を選んでいた時よりも更に楽しそうで、いつの間にか母まで腕にたくさんバッグをキープしている人になってしまっていた。
色々選んだ中で、私は一つの商品にほぼ決めかけた。
それも通常は35,000円程だが、セールで30%オフ。お得感がある。
「絶対にこれがいいわ!シンプルだしお洒落だし」と、母もそのバッグが気に入ったようだった。
最初に気に入っていたセール除外品のバッグが名残惜しい気もしたが、安さには勝てない。その30%オフのバッグを購入する事にした。
精算しようとすると、母が隣で「お年玉代わりに払わせて」と言って譲らない。
だがそこまで甘えてしまうのはこの年齢でどうかと思うし、親孝行のつもりで買い物に付きあったはずが、まるで私の物を買ってもらう為に来た様になってしまう。
「これぐらい自分で払うから大丈夫」と言って断った。
母は幾つになっても母らしい事をしたかったのだろうか。
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