いつもより幸せ





――前回の続き。

ある歌手のライブに一人で行ってみる事にした。

迷いながらもようやく会場に到着。

始まるまでしばらく時間があったので、近くのカフェで一人ランチをした。

それも私が今まで苦手だった事だ。
こんな歳をして情けないが、一人で外食が出来なかった。他人の目を気にし過ぎて。

しかしここは誰も知った人と会う事はあり得ない場所。そう思うだけで案外平気で一人ランチを楽しめた。周囲を見渡しても、カップルもいたが、一人でスマホを見たり、雑誌を見たりしながら食事している人もたくさんいた。
すごくリラックス出来る。いつもと違う場所だから出来ること。

それから会場に戻ると、開場間近だからか、大勢の人が入口に列を作っていた。
私もそっとその列の一番後ろに立った。

見渡してみると、予想外に一人で来ている人も多い。

選ぶ歌手にもよるのかもしれないが、有名でも派手でもないその歌手のファンは皆大人しそうな人だった。

それに、年齢層が高い。自分と同世代か、さらに上の人達が多く感じた。
そして皆礼儀正しく静かに待っているというような人が多かった。



それから開場となり席についたが、私はほぼセンターの10列目だ。
気紛れでたまたまネットで申し込んだだけなのに、こんな良い席が取れるなんて良かった。客入りはガラガラでもないし、ずっと後ろまで席は埋まっていた。

そしていよいよライブが始まった。

とても心地よい歌声に感動し、私はしばらく時間が経つのも忘れていた。
観客も皆温かく、微笑ましいライブだった。


そして気付いた。

そのライブの間、私は日頃の悩みや重い心はすっかり忘れていた。というか頭に浮かぶ余裕すらなかった。

これだ。これが大切なんだ。

もちろん、帰りの電車の中では「あぁもう楽しみが終わってしまった。また重苦しい毎日が続くな」とすでに元の自分に戻ってしまったが、一瞬でも忘れられる時間を作る事が大切だとつくづく実感した。

帰宅後、夫に今日あった素敵なライブの話をしていると、それをニマニマした顔で夫は聞き、最後に「良かったね。これで明日から少しは元気になれる?」と言われ、急に我に返り、それとこれとは別だわ……と、現実に引き戻された。

現実は現実。以前医師が言っていたように、嫌な事や辛い事は置いてあるだけなのだから。

だけどその日一日だけでもいい。
ほんの少しいつもより幸せな一日だった。






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Posted byころり
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