勝ち誇った顔






――前回の続き。


私は面倒臭くて適当に、「これでいいです」とその店員に1本を渡した。

するとそこからのセールスが更に凄い。この1本を購入するなら、序にあと2本購入するとどれだけお得かという説明が始まった。

だがその説明を最後まで聞く気はない。本当に必要のないものは買わなくていい。

私は彼女の説明を途中で遮り、「いえ、本当に私には3本も必要ないんです。だから説明は結構です。」とハッキリと断った。

すると女性店員は諦めたのか「承知いたしました」と言い、夫の3本と私の1本をそれぞれ受取り、それに合わせたレンズ選びとなった。私が彼女の話を中断させてまでハッキリお得情報を断ったのに、愛想が悪くなるという事もなく、レンズ選びの説明の間もずっと愛想良く丁寧な対応をしてくれた。

私はせめて最後まで説明を聞くぐらいはするべきだったかも……失礼だったか、と少し後悔した程。

それにしてもメガネというのはフレームを選べば終わりではなく、レンズを選ぶにもかなり時間がかかった。色んな種類や機能が多すぎて、それらは無料で付けらるものだったり、これなら千円でオプションを付けられますと言われて迷い、さらに五千円プラスすればこんなに機能アップすると言われればまた迷ったり……。

いやいや、折角安い店に来たのだから上乗せしていてはきりがない。
そしていよいよ会計という事になった。


そしてビックリ。

夫がメガネ3本セットで2万円程。

私がメガネ1本で1万8千円程だった。


どこがどうなってそんな計算に……ほとんど差がない。思わず目が点になる。

確かに私に老眼鏡3本も必要はない。だが、3本と1本でこの程度の金額差にしかならないなんて損をした気がしてしまう。選んだフレームにもよるが、やはり3本セットで購入した時の特典が大きい。レンズを選ぶ時点でも私は加算されるものが多かったが、夫のは無料オプションが多かった。

なるほど、こういう事なのか。

夫と私、二人の明細を目の前に出され、私は黙り込んでしまったが、思わず口を開いたのは夫の方だった。

「ほとんど一緒。やっぱり3本買った方が得じゃない?」

私もその言葉には逆らえず、「確かに……でも老眼鏡3本、要らないし…う~ん」とまだしぶとく渋っていると、待ってましたとばかりに女性店員の目が輝き出した。

「そうそう、そこでですね奥様!こういうパターンはいかがですか?」

と言い、普通の老眼鏡1本、パソコンなどのブルーライト防止用の老眼鏡1本、あとは予備に近視用を1本というアドバイスだった。

確かに私は軽い近視もある。しかし普段はコンタクトレンズを使用しているし裸眼でもそこそこ見える為、近視用メガネは不要だと決めつけていた。しかしこうなると予備に近視用のメガネがあっても良いかもしれない。

女性店員はニコニコと笑顔で私の顔を見つめながら「いかがでしょう?」と最後の詰めに入った。


* * * * * * 


そうして結局私も3本購入する事となった。

店員の思惑通り。いっそ最初から大人しく説明を聞いておけば良かった。「3本も必要ない」と意固地になっていた自分が恥ずかしい。

店を出る時、その女性店員は満足気に深々とお辞儀してくれた。

最後まで笑顔で丁寧に対応してくれたその女性店員。でも私はなぜか負けたような気がしてならない。




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Posted byころり