それなら無理に親友ごっこをさせないで

―――前回の続き。
今朝、実母からラインがあった。
「これ、欲しいでしょ?」
実家に行くと、テーブルに洗剤が置いてあった。
どうやら渡したい物というのは、頂き物の洗剤らしい。
「わざわざこんなのいいのに…」
私はあえて不機嫌に言った。
毎回こういう口実で呼び出されるのはやめたい。
すると母はまるで聞こえていないかのように私の言葉はスルーし、キッチンでお茶を入れ始めた。
あぁ、座りたくない。
ゆっくりお茶なんてしたくないのに。
そこまでは言葉に出せず、私は黙って座っていた。
すると母はお茶を私に出しながら、「優子ちゃんに会ったんだって?」と聞いてきた。
やっぱり。その事か。
多分その事を言い出すだろうと思っていた。
久しぶりに友人と会う先日連絡があった昔の友人、優子と会ってきた。
「何か言ってた?どんな話をしたの?」
探りを入れる母に私は、「別に」とだけ答えた。
私に聞かなくても、きっと会った時の事を優子が自分の母親に話し、それをまたうちの母が優子の母から聞いただろうに。
だが母は私の口から何かを言わせたいのだ。
その「何か」が分かっている為、私は身を固くし意地でも何も言わない。
すると母が言い出した。
「優子ちゃんはいい子でしょう?」
「ころりの一生の友人になれると思うわ」
あぁ、また始まった。
母の押し付け。
そこで軽く聞き流せばいいのに、私はイラッとしてしまい、思わず母に言った。
「そんな事ないわ。全く環境が違うし、優子は子供の事で頭がいっぱいよ。一緒にいても気を使うから疲れるわ」
我ながら捻くれた言い方をしてしまった…と思ったが、本音でもあった。
すると母が言った。
「気を使うのは自分ばかりじゃないのよ?優子ちゃんだって子供のいないあなたに気を使って疲れるわよ」
だから!
それなら無理に親友ごっこをさせないでよ!と思う。
お互い違う人生を歩み、自然と疎遠になっていった…それでいいじゃない。なぜそれが許されないのだろう。
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