学歴社会
派遣先に行く日。
席に着くと上司が近寄ってきた。
「ころりさん、今日はちょっとお願いしたい事がありまして――」と後ろを振り返った。
上司の背後には20歳代後半かと思われる若々しくて、スラリとした美人の女性が立っていた。
上司の説明によると、彼女は最近入社した新人らしい。
「今日は彼女に色々と仕事の流れを説明してあげて欲しいのです。サラリと軽くでいいですから」と言い、続けて「彼女は全く経験はないらしいですが、K大を出ているから少し説明するだけですぐ理解出来ると思います」と言いながら彼女にも「期待してるよ、楽しみです」と声をかけた。
――これだ。
有名大学卒だというだけで仕事が出来ると最初から半分認められている。高学歴はそれだけ頭がいい証明なのだから当然だ。
だが私が今後、本格的に仕事を探そうか?社員で頑張ってみようか?と思いつつも、いつも二の足を踏んでしまうのがこの「学歴社会」。
この学歴というコンプレックスがある為に、今の時代、会社で私の居場所なんてないんじゃないか?そう思えてならない。
私の学歴は低く、腰掛の短大卒だ。
学生の頃には自分が一生働くなんて思ってもおらず、多分結婚したら子供を産み、専業主婦になるのだと思っていた。もし働いたとしても、近所のスーパーでレジ打ち程度だろうから、勉強を頑張ったり有名大学を目指す事なんて意味がない事だと思っていた。親にも「女の子なんだからそこまで勉強は頑張らなくてもいい」と言って育てられた。
それがいざ働き始め高学歴の人達と同じ職場で働く事になると、「学歴」がどれほどその人の評価に繋がるのかを痛感した。
何度か転職をしたが、どの職場でも度々学歴による言葉の差別があるように感じた。
――続きます。
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