驚きのあまり茫然。預けてしまった事を後悔する

―――前回の続き。
私は最初から丸一日預けるのは不安で、事前に半日でお願いすると伝えてあった。
お迎えの予定時間になり、私はソワソワしながら犬の幼稚園に向かった。
少しは雰囲気に慣れたかな?
そう思いながら幼稚園のドアを開け、真っ先に目の前にあるドッグスペースを見た。
いたはずなのに…
しかしそこには誰もいない。
朝預けた時には愛犬がここにいたはずなのに。どこに行ったのだ⁉
それに受付にも誰もおらず、人も犬もいない状態。
それで周囲を見渡すと、幼稚園の建物と併設してトリミング室があるのだが、そこに朝会った店主がいた。
何と驚いた事にトリミングを手伝っている様子。
えぇ?あの店主が近くでずっと愛犬の様子を見守ってくれると思っていたのに。
愛犬はどうなったのだ?
私は不信感でいっぱいになり、その店主の近くまで行き窓の外から声をかけた。
店主は気付いたが、それでも慌てる様子もなく、10分程待った。
何と言うか…マイペースな人だ。
それならそうと先に言って
それでようやく店主が受付まで来たので、「あの子はどこに?」と真っ先に聞いた。
すると店主、「あぁ、奥のドッグスペースにいますよ」と言う。
まさかたくさんの犬の中へ?
大型犬もいる中へ?
不安なままそう聞くと、「そうです。大丈夫みたいですよ」と言う。
誰か傍で見守っているスタッフはいるのかと聞くとそれも、「そこまで神経質にならなくても大丈夫」と言われた。
しかししかし!
それならそうと最初に言っておいて欲しかった。
私はてっきり今日は初日だし、大人しいポメラニアンと二匹だけで過ごし、さらに店主が近くで見守ってくれていると思っていたのに。
そう会話したはず…と思っていた。
苦情まで言うつもりは無いが、とりあえず私は、「預けていった時のまま置いてくれていると思っていました。怖がりな子なので」と言った。
リードでピシッ!
すると店主からの返事はなく、そのまま奥の部屋に行き、愛犬を抱いて戻ってきた。
愛犬はキョトンとした表情で私を見ている。
だが店主が愛犬を床に下ろした瞬間、愛犬は店主に向かって猛烈に吠えて唸り始めた。
ここまで凄い勢いで吠えるのは初めてで、私が驚いていると店主がリードを掴み、ピシッとリードで愛犬の尻を叩き刺激を与えた。
嘘でしょ?驚きのあまり茫然としてしまった。
愛犬は一瞬で黙り、私の膝の中に潜り込んできた。
「そうやって教えないとダメです」
いや…私はそうは思えない。
褒めて躾けるのが基本だとHPには書かれていたのに…。
何が正解なのか分からないが、これはもう私には合わないと思った。
後で愛犬の様子を撮影した動画が送られてきたが、愛犬は数匹の犬がいる部屋の隅でブルブルと震え壁に張り付いていた。
あぁ、私が悪かった。預けてしまった事を後悔する。
もう二度とあの幼稚園に行く事はない。
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