悪口を言いたい訳じゃなくて

会った翌日にライン
精神病院の受診に行ったのは、実家で母と会った翌日だった。
疲れ果てた待ち時間精神病院の診察の日。
そして長い長い待ち時間の間に、スマホに着信があった。
見ると母の名前が…。
昨日会ったばかりなのに?早速?
少し前に母と気まずい雰囲気になり、それ以降はしばらく母からも連絡が途絶えていたが、こうして実家に顔を見せた後には元通り。
また何を言ってきたのか…
恐る恐るという感じでそのメッセージを開いた。
するとそこには、「お母さんは毎日、何とか一人で歩いて買い物や通院に行っています」と書かれていた。
あぁ…母らしい。
何の為にこのメッセージを送ってくるのか?
もちろん母に聞けば、「だから心配しないでね、という意味で送ったのよ」と言うだろう。しかしそう思えない。
そもそも昨日会ったばかり。言いたい事があれば会った時に言えばいいものを、わざわざまたこうして翌日にメールを送ってくる。
…重い。
このメッセージの、「何とか」とか、「一人で」とか、「歩いて」などが私の罪悪感を大きくさせた。
どこにも、「もっと頻繁に来て病院や買い物に連れて行ってよ」なんて書かれてはいないが、それを感じさせる。
ストレートに書かれていないからこそ重い。
相談なのか悪口なのか
そしてその後、女医のH医師の診察を受けた時に母との事を聞かれたので、「丁度今もメールが来たのですが」と、この事を話した。
するとH医師はケラケラと笑いながら、「お母さんは策士ね!」と言い、「あなたのお母さんはなかなかの役者よ~」と言われ思わず私も笑った。
その後も、「お母さんは自分の事しか考えていない」、「あなたを利用している」と、ビシバシと母に対する厳しい言葉を並べる医師。
うーん…ちょっと違う。
私が一つ話しただけで、医師は全てが分かったかのように「そういう人はこうなのよ」と、母という人間を決めつけてるように感じた。
分かってくれると感じる部分もあるのだが、あまりにも私以上に医師が母を非難するので、私は何だか自分がとても悪い人間のような気がしてきた。
これでは医師と二人で母の悪口を言っているような気分。
だが医師が自信たっぷりに母を否定するので、私は笑って頷くだけだった。
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