会話をすると傷つきそうで怖い

実家に行ってきた。
しばらく母と会っていなかったので、もう何日も前から緊張していた。
「明日行こう」
そう思いながらも、「やっぱり明日」とどんどん日が過ぎていき、さすがに罪悪感に耐えきれなくなりようやく重い腰を上げた。
実家までの道中もそれはそれは憂鬱で、自分でも何がこんなに不安なのだろう…と考えてみたが、私は怖いのだと思う。
しばらく会っていない事で母が怒っているのではないか。
不機嫌な態度をされてまた自分が傷つくのではないか。
それが怖い。
相変わらず進歩していない私。
しかし実家に着くと、拍子抜けするぐらい母はいつもと変わらずお喋りを始めた。
そして私に「体調はどう?」と聞くので、「更年期障害よ」と軽く流し、そう聞かれた手前、娘としても一応母の具合を聞かなくては…と、「お母さんは体調どうなの?」と聞き返した。
すると母は、「すっごく悪かった」と顔をしかめた。
あぁ…これを言いたかったのか。
そう思いつつ、「どんな風に?」と聞いても、すぐに母は答えない。
「とにかくもう死ぬかと思ったわ」「こんな時一人って大変」など、グダグダと言うわりには、結局どこがどう悪いのか言わない。だから私もそれ以上聞かなかった。
優等生な娘でなくていい。
最低限、義務を果たすだけ。
そう自分に言い聞かせたが、やはりどこか罪悪感が残る。
そしてこれ以上会話を続けるとまた何か自分が傷つく事を言われそうで、私は何度も時計を見て帰る事ばかり考えていた。
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