一番会いたくない人に出くわした

今日は買い物に行った。
用事があったついでに寄ったので、いつもとは違う店に。
しかし本当はその店にはあまり行きたくなかった。
実家に近いから。
母が時々買い物に行く店であり、数年前に一度だけ、この店内でバッタリ母と出くわした事がある。
その時は「しまった!」と焦ったものの、顔には出さず「偶然ね」と笑顔でその後一緒にお茶をした。
それでそれ以降、極力この店には行かないようにしていたのだが、わざわざ別の店に行く時間もなく、今日は仕方なくその店に寄った。
数年ぶりに入ったこの店。
24時間営業のこの店。
たまたま久しぶりに来たこの瞬間に、母と会う確率は?
考え過ぎだ、きっと会う事なんてないだろう。
そう言い聞かせつつ店内に入ると…
嘘でしょ。
レジに母が立っていた。
店内に入った瞬間、すぐ分かった。
本当に。
信じられない。
まさか本当に会うとは。
しばらく私は立ち尽くして動けなかった。
母がこちらを見ていた。
私に気付ている?
いや、見えていない?
そこそこ距離が離れていたので、母が私を見ているのか気付いているのか分からなかった。
だが無反応で、そのままレジの支払いをしている。
その瞬間、私はサッと隠れた。
別の通路に入り、物陰からそっと母の背中を見た。
母は振り返る事もなく、私を探している様子もない。
そのまま支払いを済ませて帰って行った。
気付いていなかったのかもしれない。
安堵と共に押し寄せる罪悪感。
私、何しているんだろう。
親に会って隠れるなんて。
完全に拗らせている。
よく読まれている記事