偶然出会ったドッグトレーナー
―――前回の続き。

夫と一緒に愛犬を連れてドッグカフェに行ってきた。
注文するのを忘れてしまう程、私はその女性店主に愛犬の事を話し続けた。
食が細くてなかなか食べてくれない事。
怖がりで飼い主以外は人も犬も新しい場所さえも苦手な事。
まるでお悩み相談のようになってしまい、途中で我に返り慌てて注文をしたが、その女性店主はいつまでも話していたくなるぐらい聞き上手のお話上手だった。
このカフェに時々来たいな…私はそう感じていた。
一通り会話をした後、店主は私達が注文したメニューを作る為にキッチンに入った。
ベリーショートの女性
するとしばらく経った時、入り口のドアが開いた。
「あ、おかえり~!」
女性店主がキッチンで声をかける。
ドアから入ってきたのは私と同年代ぐらいのベリーショートの女性。
真っ黒に日焼けしていて、どこか男性的でサバサバしていそうな雰囲気。
一瞬私と目が合ったが、サッと目をそらしそのままキッチンの方に入って行ってしまった。
スタッフだろうか…。
そんな事を考えていると女性店主が注文した菓子とお茶を運んできた。
そしてやはりすぐ目の前の椅子に座り、また引き続き話し相手になってくれる。
すると会話の途中で、「ちょっと待って下さいね」と言い、先ほど見かけたベリーショートの女性を私達の席まで連れてきた。
ドッグトレーナーだと紹介される
「この方、ドッグトレーナーなんです。良かったら相談にのってもらったら?」
そう言いながら、先ほどから私が話した内容を大まかにそのトレーナーに説明してくれた。
スタッフではなかった。
犬の繋がりで親しく交流しているらしく、この日も店主の用事を手伝っていたらしい。
私は、「すみません、お時間をとらせてしまって…」と言いながら笑顔を作るよう努力したが、何だかとても緊張した。
悪い人ではなさそうだがカフェの店主とは違い、こちらが委縮してしまう雰囲気があった。
私が過剰反応してしまっただけかもしれないが…。
―――続きます。
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