老化と共にますます社交性がなくなっていく

―――前回の続き。
子犬を連れてドッグカフェに行く事にした。
私が入り口で立ち尽くしていると、奥の方から可愛いシュナウザーが歩いて来た。
看板犬なのか、私の足元でクンクンと匂いを嗅ぎチェックしている。
すると若い女性も奥の方から出て来た。
「いらっしゃいませ」
若くてお洒落な女性。
まだ学生のような雰囲気があったのでバイトの子なのかと思ったが、後で聞くと店主らしい。
私はあまりにお洒落な店内と、若くて今時女子の美人店主に、ますます自分がこの店に似合わない客のような気がしてきた。
まるでお洒落な美容院に行った時のような居心地の悪さで、私はぎこちなくすぐ近くにあったソファに身を沈めた。
何か注文せねば…と、とりあえずドリングを注文。
子犬は知らぬ場所に緊張し、さらに看板犬のシュナウザーがいるので怖いらしく、私の膝から降りようとしない。
救いは、このシュナウザーも大人しいらしく、それ程うちの子犬に近寄って来ない事。
最初だけクンクンと匂いを嗅ぎに来たが、その後は少し離れた所で寝そべっていた。
美人店主がドリンクを持って来てくれ、話し始めた。
「まだ子犬ですか?」
「そうなんです、怖がりで」
他に客もおらず、私と店主の二人きり。
店主も私をこのまま放置しておくのは悪いと思ったのだろう。私の目の前のソファに腰を下ろし、私の話し相手となってくれた。
私は子犬の悩みなどを相談したかったが、いきなりそんな話をするのも重いだろうと思い、相手に合わせて当たり障りのない会話をしていた。
しかし何というか…やはり会話が若い。テンションが若い。ノリが若い。
色んな意味で、年齢の差を感じずにはいられなかった。
それも当然、私にこれぐらいの歳の娘がいてもおかしくはない。
十数年前にドッグカフェに行った時には、どこのカフェでも自然と店員や客と会話が出来た。
同年代の客と仲良くなる事もあり、その後でまた時間を合わせて会ってみたり。
だが今回はとても気疲れしてしまった。
話題が途切れないように必死で会話を繋げ、暗くならないようにテンションを上げた。
美人店主が悪い訳ではなく、明るく可愛い方だと思う。
私自身がこの十数年で変わってしまったのだと感じた。
何も変わっていないように思っていたが、やはりこうして若い人と会話をすると自分が老けた事を実感する。そしてより性格も閉鎖的になり会話下手にもなった。
子犬の社会性を見に付けさせる以前に、飼い主の社交性の方が問題だと痛感し、空振りした気分で帰宅した。
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