当分行きたくないブラックフライデー

ユニクロのブラックフライデー。
夫の洋服をまとめ買いしたいしたいものの、洋服に無頓着で面倒臭がりの夫。
さらに人混みを嫌うという事もあり、セールに連れて行くのは至難の業。
今回も「服なんて要らない」と言いつつボロボロの服を着続けようとする夫。
ネットでも店舗でもここ数日「ブラックフライデー」の文字をよく目にする。
しかし最近激太りした夫のサイズ感が分からない為、本人を連れていくしかなく、私は朝から夫のご機嫌を伺った。
「今日の予定はないよね?」
「私、行きたいところがあるんだけど、付き合ってくれる?」
そして半ば騙しのように、途中まで行き先を伝えず連れて行き、ユニクロの建物が見えたところで私は言った。
「ちょっと寄ってもいい?お願い!ほんの少しだけ!15分…5分でもいい!一瞬でまとめて買えばいいから!」
夫に有無を言わさぬ勢いで畳みかけ、「本当に要らないのに…」と言う夫を引きずるようにしてユニクロの店舗に入った。
そしてやはり購買欲のない夫。
ボンヤリ立ち尽くしている夫をそのままそこに立たせておき、私は一人で店内を走り回った。
とりあえずセールになっているヒートテックやジャケットなどを手に取り、夫の前に置く。
「これと、これと、これ。買うけどいい?」
夫に確認しないと購入しても夫が気に入らなくて着てくれない時があるので一応聞く。
夫が首を縦に振れば、今度は色を選ぶ。
「これと、これと、これ。色はこれでいい?」
夫が首を縦に振ればOK。
「これはちょっと嫌」と夫が渋る色があれば、サッと別の色を目の前に出し、「ではこれでいい?」と、まるで眼鏡のレンズ合わせのように確認をしていく。
その辺りは順調に進んだのだが、問題はボトムス。
こればかりは試着してもらわないとサイズが分からない。
さらに上着よりも夫の拘りがあり、動きづらいだとか、肌触りが気に入らないだとか言うので難しい。
私はとりあえずサイズ違いの2着を夫に持たせ、試着室に引っ張って行った。
そこに店員が立っていて、「どうぞ」と案内される夫。
私は中に入らず「行ってこい」と見送った。
まるで子供を見送る気分。
そしてしばらく付近で他の洋服を見ていると、いつの間にか夫が私の傍に戻ってきていた。
「どう?そのパンツでいい?」と私が聞くと、「良いのか悪いのか分からない」と言う。
そして、「ころりも一緒に来て見てよ」と言われた。
まるでではなく、本当に子供そのもの。
50代にもなって洋服一つ自分で決められないとは。それもお安いショップなのに。
その後、ボトムスを数着購入したのだが、その度に試着室に私も一緒について行き、結局私が選び決めた。
帰り道、夫が言った。
「疲れた。当分行きたくない」
私も同感。
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