介護をさせて頂くのが喜びだと言える嫁

知人から喪中ハガキが届いた。
知人は私より一回り年上の女性で、もう20年近く会っていないが、現在60代になっているはず。
届いた喪中ハガキは、亡くなられた方の名前や年齢から察するに、彼女のお姑さんだと思う。
私はこのハガキを見て思った。
「彼女が最期まで介護をしたのだろうか」
彼女は介護職をしている。
だが、「夫の親を老人ホームに入れるなんてしたくない」と言っていた。
* * * *
私はずっと昔、この女性に自分の義母の事を愚痴った事がある。
その頃私の夫は今以上に親への想いが強く、頻繁に実家に行きたがったり、「いずれ同居するのも楽しそうだ」なんて信じられない事まで言う人だった。
そこに乗っかる義母。
息子への依存が半端なく、私は逃げ出したい程辛かった。
その話をこの女性に聞いてもらった事がある。
すると彼女が言った。
「どうして同居が嫌なの?」と。
そして続けて、「私は介護をさせて頂けるなら、お姑さんの介護をしたいと思っているわ」と言った。
そんな事を聞いてしまうと私は返す言葉も無い。
彼女によると、介護をさせて頂けるのは喜びらしい。
彼女の夫は逆に「親の介護なんてしなくていい」と妻に言ってるらしく、姑本人も、「嫁の世話にはならない」と言いしっかり自立した考えの人の様子。
そして彼女が言うには、自分はなぜかお姑さんに嫌われている…と。
そんな状況なのに、それでも彼女が「介護をさせて頂きたい」と思えるのが不思議でならなかった。
だがその後出会った別の女性も、「介護をしたいのにさせてもらえない」と言っていた。
偶然なのか彼女も姑に嫌われているらしく、「なぜか私の事を怖がるのよ」と笑っていた。
そして結局その人の姑は、息子宅には寄り付かず介護施設に入所した。
こうしてみると、嫁が「介護をしたい」と言えるのは、介護をされたくない親だからという事?
いや、中には依存してくる親であっても、愛情をもち受け止める嫁もいるかもしれないが…。
だが少なくとも私は介護を「させて頂きたい」なんてとても思えず、介護をしたとしても義務と責任の気持ちしか無いと思う。
冷たい嫁なのだろう。
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