出るべきか無視するべきか。迷った昔の知人からの電話

意外な人からスマホに電話がかかってきた。
表示された名前を見て、十数秒間悩んだ。
出るべきか…無視するべきか…
もう10年近く前になるが、以前派遣で働いていた時の社長の姉からの電話だった。
派遣の仕事が契約通りの今月末で終わる事になりホッとした。
確かその頃はこの職場について多くの記事をこのブログに書いていたはず…と思い探してみたが、あまりに詳細を書き過ぎていたのか後日に削除してしまったらしい。
小さな会社で、その頃にいたのは社長と私、そして時々手伝いにくる男性スタッフだけだった。
その男性スタッフも私と同時期に辞めたので、その後は社長一人で経営していたのか、もしくは既に倒産してしまったかも…と想像していた。
そんな社長の姉からの電話。
その頃社長の姉は仕事内容には一切関わっていなかったが、会社のお金の一部を管理していた為、時々会社に現れて私とも何度か顔を合わせた事があった。
これが…最初は最悪な雰囲気で。
こちらが挨拶をしてもギロッと睨むだけで後は無視。
かと思ったら突然強い口調で責め立てられた事もあり、誰が見ても鬼のような人…だと思っていた。
ところが何ヶ月か経った頃、何がきっかけだったのか忘れてしまったが時々私に笑顔を見せてくれるようになり、私が辞める頃には親しげに会話までするようになっていた。
だがそこは富豪の娘でお嬢さま育ちのお姉さん。
私が心から打ち解ける事はなかったが、それでも辞める直前に気安く会話が出来るようになれた事で随分心は救われた。
スマホにその社長の姉の電話番号を残していた事に自分でも驚いたが、迷った末に電話に出てみた。
スマホの場合、無視したところで着信履歴が残るので、どのみちかけ直さないと相手が気を悪くされるかも…と思ったから。
電話に出ると、元気で早口なあの社長姉の声が聞こえた。
「あ、出てくれた~!元気~?私、覚えてる~?」
―――続きます。
「わぁ、お元気でしたか?」と私も相手に合わせてテンション高く挨拶をした。
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