お断り
イライラしていた。
今週に入ったあたりから色々な心配事が重なり、何をしていても集中出来ずにいた。
そんな時に玄関のインターホンが鳴った。
「はい」
最近はセールスが多いので、出来る限り玄関に出ず、インターホン越しにどういった要件なのか見極めるようにしている。
この日の相手は「この近くで電気関係の工事に入るので、そのご挨拶と説明に伺いました」との事。セールスでもよく似た言い方を何度も聞いているので、明らかな時には「忙しい」と言って外に出ない事が多い。
しかし、この日は偶然、朝からうちの近所で本当に大掛かりな工事をしており、何台もダンプカーが通り過ぎる音もしていた為、本当に必要な説明だとすれば出ないのも相手に悪い。しかもこの時のインターホンの相手は早口で有無を言わせぬ感じがあり、「すぐ済みますので玄関先までお願いします」と言われた瞬間、おもわず「はい」と言って玄関に出てしまった。
開けた瞬間、姿を見て「しまった」と思う。どう見ても何かのセールスだ。
「私、○○と申します。本日はこの近くで電気の工事に伺っていまして―――」
捲し立てるように説明が始まる。
どこかで断るタイミングを掴もうとするが相手は隙を与えず、息継ぎしてるのか?と思う程のスピードで話し続ける。
どうやらオール電化のセールスらしい。
全くそんな気はないし、相手にとっても時間の無駄だ。
「あの、何かの販売とか、工事とか手続きが必要な事は全て興味ありませんので」
思い切って言った。
心なしか、私も相手の口調が移ってしまった様で、早口で捲し立てた。
しかし相手は引き下がらない。
「あ、いえいえ奥さん、販売とかそういうのでなくってですね」と、電気代の明細を拡大した写真を出し始め
「奥さん、この明細って見たことありますよね」
「はい、あります」
「最近は電気代の単価が上がってるのをご存知でした?」
「はい、知っています」
「ここの金額が三段階になっているのご存知でした?」
「はいはい、知っています」
「時間帯によって価格が変わるのは……」
「はいはい!知っています!」
「はいはい、だから?」という様に相手の質問に被せるように返していたが、一向に終わらないので私のイライラは最高潮に達し、遂に爆発した。
「この説明って何なんですか?全く何も販売も工事もしないって言えます?もしそうでないなら私は全く興味がありませんし、聞くだけ時間の無駄です。お帰り下さい。今すぐに。」
文面にして改めて読むとまだまだ弱いような気もするが、実際は怒りを抑えている分、口調と表情にそれが出ていたらしく、相手は急に黙り込み静かに私の顔を見つめて言った。
「帰った方がいいですか?」
私はイライラが止まらない。
「お帰り下さい。失礼します」と言ってドアを閉めようとした。
すると閉めるドアの向こうから「ケッ!感じワルッ!」という捨て台詞が聞こえた。
疲れる。こんな風に真面目に対応する事自体が馬鹿げている。
それにしても全く関係のないただのセールスマンに対してでさえ、こうして強く言う事がしんどい。更に言った後はドーンと心が落ち込む。内容なんて関係なく、人とぶつかる事に弱い。こんなくだらない事なのに。
こんな私だから親や職場、近所の人に対して何一つ気持ちをぶつけられないのだろう。
セールスマンが帰った後、更に私のイライラが膨らんだ。
「奥さん、この明細って見たことありますよね」
「はい、あります」
「最近は電気代の単価が上がってるのをご存知でした?」
「はい、知っています」
「ここの金額が三段階になっているのご存知でした?」
「はいはい、知っています」
「時間帯によって価格が変わるのは……」
「はいはい!知っています!」
「はいはい、だから?」という様に相手の質問に被せるように返していたが、一向に終わらないので私のイライラは最高潮に達し、遂に爆発した。
「この説明って何なんですか?全く何も販売も工事もしないって言えます?もしそうでないなら私は全く興味がありませんし、聞くだけ時間の無駄です。お帰り下さい。今すぐに。」
文面にして改めて読むとまだまだ弱いような気もするが、実際は怒りを抑えている分、口調と表情にそれが出ていたらしく、相手は急に黙り込み静かに私の顔を見つめて言った。
「帰った方がいいですか?」
私はイライラが止まらない。
「お帰り下さい。失礼します」と言ってドアを閉めようとした。
すると閉めるドアの向こうから「ケッ!感じワルッ!」という捨て台詞が聞こえた。
疲れる。こんな風に真面目に対応する事自体が馬鹿げている。
それにしても全く関係のないただのセールスマンに対してでさえ、こうして強く言う事がしんどい。更に言った後はドーンと心が落ち込む。内容なんて関係なく、人とぶつかる事に弱い。こんなくだらない事なのに。
こんな私だから親や職場、近所の人に対して何一つ気持ちをぶつけられないのだろう。
セールスマンが帰った後、更に私のイライラが膨らんだ。
よく読まれている記事