同居する嫁が部屋に饅頭を一つだけ持ってきた話

先日書いた、一人きりになるのが辛いという話。
先日、「怒り新党」を見た。3人のバランスがとても良くて好きな番組だったなぁ。
この記事に対し、「子供や親戚がいるのに絶縁して一人という方がもっと辛い」というコメントを頂いた。
なるほど。
確かにそうかも。
最初から子供がいなければ覚悟も諦めも出来るが、高齢になり子供に見放された…と感じるのは悲しい。
そんな事を考えていると、私はふと以前母が言っていた、「饅頭の話」を思い出した。
母の友人で、息子夫婦と同居している女性がいる。
年齢は75歳ぐらい。
二世帯住宅で、部屋はもちろんキッチンやバス・トイレも別。
一階と二階で世帯を分けている為、用があれば簡単に行き来が出来る。
私などはこれを聞くだけで、恵まれた老人だなぁと思う。
何かあれば助けてもらえるという安心感がありつつ、ゆっくり自分の時間も過ごせる。
むしろ二世帯住宅なんて私なら近過ぎるぐらいで、徒歩10分ぐらいの距離で離れて住むのが一番良いようにも思うが。
だがその友人が言っていたらしい。
嫁がこちらの部屋に来て、「饅頭を貰ったからお義母さんの分をどうそ」と言って、饅頭を一つだけ皿に乗せて持ってきた。
それで寂しくて傷ついたと。
その友人は、「お義母さんもこちらの部屋に来て下さいよ。一緒に食べましょう」という言葉を期待していたらしい。
一人分の饅頭など貰っても嬉しくない、一緒に食べる事が嬉しいのだと。
私の母は、私にその話を聞かせながら言った。
「老人はみんなこういうものなのよ。ころりならそのお嫁さんみたいにそんな冷たい事はしないと思うけど」
母らしい言い方で、そういう事をするなと私に釘を刺した。
私がその老人ならどうだろう?
気を使いながら息子夫婦と食べるより、私の分を持ってきてくれる方が余程気楽だし、持って行ってあげようと思ってくれる気持ちだけで十分嬉しいような気がするが、実際自分が高齢になればまた感じ方が変わるのだろうか。
確かに子供がいるのに見放されるのは悲しいが、私のようなややこしい性格の場合、いざという時にいてくれるけど、普段は放っておいてくれる…そんな関係が理想だけど。
よく読まれている記事