新しい朝、また会話する暮らしが始まる

朝、目が覚めた時、何とも言えない気分だった。
嬉しいような、緊張するような。
この家にまた犬がいる。
子犬は1階のリビングに置いたケージで夜を過ごした。
私達は2階の寝室で寝るのでひとりぼっち。
まだ子犬のうちはしばらくこのスタイルでいこうと思うが、それにしても気になる。
昨夜もベッドに入り、鳴いていないか、暑くないか、寒くないか、気になりなかなか寝付けなかった。
朝もかなり早くに目が覚めてしまい、とてもジッとしていられず起き上がりリビングに行った。
リビングのドアを開けるとすぐ目の前にケージがある。
その中に置いたタオルケットの上で、子犬はチョコンとお座りし、こちらを見ていた。
隣に置いたトイレシートの上にはちゃんと排泄が出来ていた。
「おはよう、眠れた?寒くない?」
「おトイレちゃんと出来たね、凄いね、偉いね」
話しかけてみて気付いた。
久々に誰もいない部屋で声を出した事を。
またこうして犬と会話をする暮らしが始まる。
ペットショップから家に来た日は夜遅かった為、そのまますぐにケージに入れて眠った。
なのでゆっくり触れ合うのはこの日が初めて。
私はケージのドアを開けて子犬を呼んだ。
「こっちにおいで」
しかし子犬はケージの奥に逃げてしまい、なかなか出て来ようとしない。
私は子犬が怖がらないように、ケージの前に寝転がり低い姿勢になり、手をブラブラと動かして「おいで、怖くないよ」と言いつつしばらく待った。
だがこの子犬、なかなか用心深い。
一歩進んで二歩下がる…みたいな。
そして何とか子犬が怯えつつもケージから出てきた。
私は子犬を抱いて話しかけながら、愛犬の骨壺と写真の前に立った。
「よろしくね」
そう声に出そうとしたが涙が出そうで声は出せず、心で愛犬に子犬を紹介した。
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