エリート夫婦を羨ましく思わなくなる

先日夫と出掛けた時、ある会社の前を通った。
誰もが知る大企業。
「木村さんはこの会社を辞めたの?」
夫にそう聞かれた。
木村さんとは私の昔の友人で、30代後半で彼女に子供が出来た頃まで付き合いがあった。
彼女はこの大企業に勤めていたが、出産を機に退職した。
ちなみに彼女の夫も同じ会社に勤め、私が知る頃には海外赴任中だった。
二人共バリバリのエリート。
30代でマンションを現金一括購入し、今後一軒家を購入したらマンションは人に貸して家賃を得るつもりだと話していた。
「子供が出来てとっくに辞めたわよ」
私が夫にそう答えると、夫が言った。
「旦那さんがエリートだから木村さんも気楽だろうね」
そして続けて言った。
「ごめんね。羨ましいだろう?」
私は笑いながら答えた。
「そうねぇ~、うん、羨ましいわー!ハハハッ」
私は冗談めかして答えたつもりだったのだが、夫は笑いもせず、「うん、そりゃそうだ。誰だってそう思うよ、うんうん」と言うので私は慌てて否定した。
「嘘、嘘、全く羨ましくなんてないよ。木村さんになりたいと思わないから、ホント」
これは本心だ。
確かに若い頃には高収入で高級マンション暮らしが羨ましく思う事もあった。
しかしこの年齢になり、そういう気持ちが年々薄れている。
細々とでも生活出来ればいい。
それよりも理解し合える夫婦で長く一緒にいられる事が幸せだ。
老後資金は心配だし、お金の不安は常にある。
しかしお金があっても、もし夫が先にいなくなれば私は生きていく自信がない。
この夫がいてくれるからこそ、今私はこうして何とか心を保ち生きていられるのだと思っている。
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