自分の小ささを感じ恥ずかしくなる

よく犬の散歩で会う人がいた。
私より一回りぐらい年上に見える女性。
明るく派手な雰囲気で、私とは正反対な印象。
自分とは合わないタイプだろうな…と思いつつ、あちらも犬連れだったので会えば時々犬トークをする事もあった。
しかし最近は私が犬の散歩コースに行かなくなったので、会う事もなくなっていた。
だが少し前に、近所の人にその女性の噂を聞いた。
「病気らしいわ。末期だって」
驚いた。私の覚えているその女性は元気そのものだったから。
そしてしばらく経ったある日、スーパーの駐車場で背後から声をかけられた。
「〇〇ちゃんのママさん?」
〇〇ちゃんとは私の愛犬の名前。
犬飼い主の間では、互いの名前を呼ばず(というか知らない事が多い)、まるで人間の母子のように「○○のママ」とか「○○のお母さん」という呼び方をしたりする。
振り返ると、病気だと聞いていたその女性が立っていた。
あまりにも見た目が変わっていたので一瞬誰か分からなかった程。
茶髪のロングヘアだった髪の毛はなくなり、頭を隠すかのように帽子を深く被っていた。
濃いメイクだったのも、今ではスッピンで顔色が悪い。そして体は以前の半分ぐらいに痩せていた。
「あ、お久しぶりです」
と私は言い、続けて体調の具合を聞こうとした瞬間、先にその女性が言った。
「○○ちゃんの事、聞きましたよ。残念ですよね…本当にいい子だったのに。寂しいですよね…」
そう言って涙ぐんでいる。
その後も私の予想を超えて、私の愛犬の事を悼んでくれた。
失礼な話だが、この女性がここまで私の愛犬を想い、そして私を慰めてくれるとは意外だった。
もっとサバサバした人だと思っていたので。
以前、逆のパターンで、私の愛犬をとても可愛がってくれていた人が、意外とあっさりした反応だったという事もあった。
微熱だ眩暈だと騒いでいるうちに、ふと気づけば首や背中の痛みが気にならなくなっていた
しかしそんな事よりも、大変なのはその女性の方だ。
私はようやく彼女に「体の調子はどうですか?」と聞いた。
あまり聞くのも悪いかと思いつつ、病気だと知っているのに触れないのもどうかと。
すると彼女は、「ありがとう、でも全然大丈夫!今はこんなに髪の毛が抜けてますけどね~ハハハッ」と笑った。
その後も少し闘病生活の話をしたが、別れ際にまたその女性は、「元気を出して下さいね。○○ちゃんがずっと傍にいますよ」と言ってくれた。
私も「きっと良くなりますよ。頑張って」と言ってしまったが、頑張っている人に言うべき言葉ではなかった気がする。
彼女と別れた後、私は恥ずかしい気持ちになった。
元気づけるのはこちらの役目なのに。
あんなに大変そうな病気なのに、笑顔で明るく、普通なら他人の犬どころではないはずなのに、こんな私を慰めてくれるなんて…尊敬しかない。
>コメントお返事
生理の悩みについてさらにコメント下さった方々、ありがとうございます。前回は手術して良かったという方ばかりでしたが、その後で手術して後悔…というコメントを複数頂きました。色々あるのですね…。出来れば私も避けたいので、運動や食事、漢方などで改善出来ればよいのですが。教えて頂いた事を参考にさせて頂きますね。
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