ぽっかり空いたミニテーブル

愛犬の事を思い出さないように…記憶に蓋をしようとした。
思い出すのが辛いから。
気持ちを抑えられなくなるから。
やはり体調の変化は月経と関係している様子。
しかし先日、部屋の整理をしていた時に気持ちが溢れてしまった。
荷物を置いていたテーブル。
折りたたみ式のコンパクトなミニテーブル。
このテーブルの上が荷物置き場のようになっていたのだが、その荷物をテーブルから下ろすと、隠れていた天板が見えた。
何もないポッカリと空いたその空間。
私はそれを見た瞬間、号泣した。
このミニテーブルは愛犬のトリミング台として兼用していた。
本格的にトリミングをする訳ではないが、自宅カットをする時にこの台に乗せて私がカットしていた。
トリミングが苦手だった愛犬。
いつもなだめつつ褒めながら、愛犬と私だけの時間だった。
何年もこのミニテーブルをトリミング台として使い、さすがに老犬になり、もっと愛犬が楽な台に変えようと思い専用のトリミング台を購入したが、届いた時にはもう愛犬はいなくなっていた。
愛犬がいなくなった翌日、トリミング台が届いた。
どうしてもっと早くトリミング台を買わなかったのだろう。
こんなに小さくて滑りやすくてアームも無くて、そんな立ちづらい所でも私に笑いかけながら嬉しそうに尻尾を振っていた愛犬。
おやつを貰いながら苦手なトリミングを我慢していた愛犬。
そんな姿が鮮明に浮かび、でももう目の前にはいないそのミニテーブルを見るとたまらなくなった。
愛犬の為には最善を尽くしてきたつもりなのに、そんな小さなテーブルで我慢させてしまい、そして最後までそれしか知らずにいってしまった愛犬にごめんねという気持ちでいっぱいになる。
それでもそのミニテーブルを見て目に浮かぶのは、私を真っすぐに見つめて笑っている愛犬しかいない。
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