働くのが当然だというプレッシャー

実家の母から電話があった。
スマホの画面に表示される「母」という文字を見ただけで急に息が詰まる感覚になる。
「元気?どうしてるかなと思って」
そう言う母は少し前にもメールを送ってきたばかり。
その時にメールで会話をしたからしばらくは放っておいてくれると思っていたのに。
「元気よ。自分こそ大丈夫?」
私は自分の事を詮索されたくなくて、母に関する話題に変えようとした。
すると母はコロナのワクチン接種の事を言い始めた。
「私は自分で予約したわよ。同年代の友達はみんな子供がやってくれたらしいけどね」
いちいち言い方が引っ掛かる。
私はワクチンの件で、あえてこちらから母に連絡する事はしなかった。
本当に困ったら連絡があるだろう。
自分で出来る事は自分でやってほしい。
しかし母の周辺では親が頼まなくても、子供が自ら先に動いてくれると言う。
「友達に、娘さんに予約してもらえばいいのに、自立していて偉いわって言われたわ」と言う母。
そういう事をわざわざ私に話す母が相変わらずで、重苦しい気分になった。
私は口数少なく、ただ「そう」「うん」とだけ答えていると、母はまた私の詮索を始めた。
「ころりはまた働くんでしょ?犬もいなくなったから気楽に働けるわね」
今の私にとても外で働く事が勤まると思えない。
犬がいなくなって気楽でもない。
それが母には全く伝わらないようだった。
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