自分を心配してくれる人達

最近夫は会社の同僚に愛犬の話をする事があるらしい。
最初こそ感情を抑えるのに必死で誰かにその話をするなんてとても無理だったようだが、ある日同じように自宅で犬を飼っている一人の女性スタッフにペットロスだという話をしたと言う。
するとその女性がこちらの思い以上に感情移入し、涙ぐみながら共感してくれたらしい。
さらにその後、他の男性スタッフが「大切な子を亡くしたんだって?大丈夫?」と声をかけてくれたと言う。きっと最初に会話をした女性スタッフから聞いたのだろう。
私はこの話を聞いて嬉しくなった。
夫の職場に心優しい気遣いのある人達がいる事に。
大の男にペットを亡くしたからといって「大丈夫?」と声をかけるなんて、余程夫が悲壮感漂う顔をしていたのかもしれないが、それにしても「犬」とか「ペット」ではなく「大切な子」という表現に私まで温かい気持ちになった。
いつも夫はこの会社への不満ばかり言っている。
同僚や部下や上司、誰も信用出来ず敵ばかり…そんな話をよくしていた。
でも私はこの話を聞いて、「良い人もいるじゃない。そうやって気にかけてくれたり話を聞いてもらえる存在って大切よ。羨ましいわ」と言った。
すると夫も「そうだね」と頷いた。
休日の夜、私は夫を外食に誘った。
自分の気分転換、そして夫も外食の方が食欲が出るかと思って。
私もあまり食欲のない日が続いているが、雑炊やうどんなど温かく水分の多いものなら食べやすい。
それでこの日はうどん店に行ってみた。
私も夫も会話をせず黙々と食べた。
コロナ対策の為に無言というより、私は途中で会話をしてしまうと夫が食べるのをやめそうで話せなかった。
夫の目の前の空になった器を見て、私は安心した。
「時々外食をしようよ」
私がそう言うと夫も「そうだね」と笑った。
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