辛いから酒を飲まずにはいられない

キッチンの戸棚を開けてギョッとした。
ウイスキーの空瓶が数本、無造作に突っ込まれている。
いつの間に?
その戸棚は普段ほとんど使わないキッチン家電を収納している為、滅多に開ける事はない。
それを分かっている夫がわざわざこの戸棚に飲んだ後の空き瓶を入れたのだろう。
それにしても隠し方が子供じみていて情けなくなった。
隠すならもっと完璧に隠せばいいのに…。
夫は元々酒好きだ。
だが年齢と共に、最近はかなり酒に弱くなった。
以前は全く顔に出なかったのに、今ではすぐに顔が真っ赤になり、更に急に大きな声で怒鳴り出したり、酔っ払い意味不明な事を言い始めたりする。
何より困るのが、本人にその自覚がないところ。
「大丈夫、酒には強いから」
自分の老化を認めず、いつまでも若い頃のままだと思っている。
酒を飲まない日はなく、最近は特に飲まずにはいられない様子。
これはアルコール依存症なのか?
それは分からないが、とにかく心配。年齢を考えて欲しい。
それで私が「お酒を控えて欲しい」としつこく言うものだから、夫は隠れて飲むようになり、こうして空瓶を隠したり、ビールの空き缶なども隠れて自分で捨てている。(私に知られている時点で隠している事にはなっていないが)
私は空き瓶を夫に見せながら、再度酒を控えるように頼んだ。
すると温厚な夫が感情的に怒り始め、「酒を取り上げられると楽しみがない」と言い始めた。
酒以外の何が楽しみで生きればいいのかと。
さらに、「愛犬を亡くして辛いから飲まずにいられない」と。
私は心底腹が立った。
私だって辛い。私だって何が楽しみで生きていけば良いのか分からない。
だからこそ夫婦で支え合っていきたいのに。
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