最後の夜

愛犬が亡くなる前日の夜。
私は何年かぶりに愛犬にくっついて一緒に寝た。
愛犬が若く元気だった頃には一緒にベッドで寝ていたが、そのうち愛犬が高い場所に上がれなくなり、又危険という事もあり一階のリビングに敷いている毛布が愛犬の寝床となった。
それと共に愛犬が見える位置にあるソファが私の寝床にもなった。
一緒にくっついて眠る事は無くなったが、私と愛犬は互いが常に見える位置にいる事で安心して眠る事が出来た。
深夜に何度も愛犬が起きる度に私も目が覚め、その度に愛犬に毛布をかけたり、愛犬が寒い場所で寝てしまっている時にはその都度温かい寝床まで運び、「ここにいるからね」と愛犬を撫でた。
そんな毎日が続いていたが、亡くなる前日の夜、愛犬は落ち着きがなく何度も水を飲みに行ったりウロウロしていた。
さらに咳がいつもより酷い気がした。
咳については以前から病院で相談していたので、ある程度は様子見だったのだが、この夜の様子が変だと思い私は「明日は病院に行こう」と思った。
そして温度変化に弱い子で、暖房器具で調整しようとしてもなかなか難しい。
自然な温かさが一番良いらしく、愛犬の咳や鼻水が酷い時、じっと抱いていると落ち着く事が多かった。
それでこの夜、私は床に毛布を敷き、そこで愛犬を抱いて一緒に寝た。昔のように。
愛犬は私の胸の中でスヤスヤと寝始め、私はその温もりを感じ幸せな気分だった。
何年も一緒に寝ていなかったのに。
久しぶりに私の腕の中で寝たのが最後の夜だった。
*たくさんのコメントありがとうございます
しばらく愛犬の事ばかり書いてしまうかもしれませんが気に障る方はスルーして下さい
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