まだこんなに笑える

―――前回の続き。
その美容室に入った瞬間、今までと全く違うと実感した。...
何年かぶりに美容室を変えた事で、最初は違和感ばかりだった。
しかし…
私を担当してくれた女性美容師、この方がなかなか良かった。
最初こそ、あまり愛想が無いような気がしたものの、良いように言えば自然体。わざとらしいサービストークは無い代わりに、ごく自然に会話をしてくれる人だった。
その女性美容師は小学生の子供がいる主婦らしく、パートで短時間勤務しているらしい。
同世代の子あり主婦なんて、私が最も敬遠するカテゴリーに属する人なのだが、これが…会話が楽しくて楽しくて、気付けば私は爆笑していた。
こんなに腹を抱えて笑うなんて何年ぶり?思い出せない程。
笑い過ぎて涙が出る程で、その女性美容師も私と同じく、本気で会話を楽しんでくれているようで、彼女も涙を拭いながら笑っていた。
会話の内容は、主婦あるあるの家事の話や、健康や美容の話など。
私はわざわざ子供がいない事は言わなかったが、あちらも察したのか偶然なのか、子供の話題はほとんど無かった。
だが内容の問題では無かった気がする。
どんな内容の話であっても、笑いのツボが似ていた。
後半にはお互い相手が言葉を発しようとすると笑ってしまい、言葉にならなかった程。
あぁ、私ってまだこんなに笑えるんだ…
凄くそれを実感した。
それと共に、夫や他の男性とここまで爆笑して会話出来るだろうかと思った。
女性同士だからこそ通ずるものや、気楽さみたいなものを感じた。
本当に意外過ぎるけど。あれ程女性が苦手だと思っていたし、実際今もやっぱり女性の集団を見ると逃げたくなるけど。
そしてその女性美容師とあまりにも雰囲気良く過ごせたので、そうなってくると不思議と最初に感じたこの美容室のあれこれが全く気にならない。
セルフサービスは気楽でいいではないか。
出迎え感が大袈裟でなくて緊張せずに済む。
我ながら単純だと思うが、人と心地良く過ごせれば、場所や環境は二の次なのだと実感した。
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