理想的な物件に出会う

この地域から引っ越ししたい。
いつか、いつか…そう思いながら20年以上過ぎてしまったが、未だその思いは変わらない。
現実的には金銭的な問題があるので、簡単には引っ越し出来ない。
かといって、絶対に不可能という訳ではなく、貯金が減ったりローンを組んだり…という無理をすれば可能性があるので、つい夢を描いてしまう。
先日、住宅情報サイトに気になる物件があった。
私はそのサイトで、地域や価格、広さなど自分の希望する物件の条件を設定し、該当するものがあれば通知が届くようにしている。
本気で買う気もないのに…と我ながら思うが、今ではもはや住宅チェックが趣味になっているのかもしれない。
そして先日通知が届いた物件。
新興住宅街ではなく、周囲には駐車場や宿泊施設があり、普通の住宅は数件程度。それも一軒ずつがかなり離れているので、玄関を出ても誰と会う事もない雰囲気。
さらに夫婦二人暮らしには十分過ぎる広さ。私達ならきっと持て余すだろう。
そしてリビングの前には広い庭があり、庭の向こう側は見晴らしの良い景色という立地。
有名メーカーの建物でもあり、まさにモデルハウスそのもの。
欠点は築年数が25年も経っている事や、不便な場所だという事。家の周辺も整備された住宅街とは違い、昔ながらの田舎っぽい雰囲気。
しかしこの広さの家にしては安かった。
きっとこの場所の立地の悪さで安くなっているのだろう。
だが私はそもそも、綺麗に整備された住宅街=人々が集まる地域、から脱出したいのだ。
なので、この人の気配のない場所は私にとっては理想的にも思えた。
夫にその情報を見せると、夫もすぐに気に入り、早速翌日その場所を見学に行った。
とりあえず外観だけ…と思い、ネットで探してその場所を見つけた。
すると外観も想像以上に良い。
それ程古さも感じず、綺麗に手入れされていたのが分かる。
これは…今まで見た中で最も良い物件ではないか。
夫婦共に意見は一致していた。
だが割安物件だとはいえ、ポンと出せるような金額ではない。ローンを今から組むのか…と考えると躊躇する。
そして夫が言った。
「とりあえず内覧させてもらってから考えよう」
―ー―ー続きます。
そして夫はすぐに住宅会社に問い合わせた。すると…
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