中古物件を見に行く

前回も書いたように、私は住宅情報を見るのが習慣になっている。
そんな中で気になった物件があれば時々夫に見せ、「これいいよね」と二人で話したりする。でもただそれだけ。実際に行動に移せる程、やはり資金が無い。
そんなある日、夫がある物件の情報を私に見せた。
築年数はうちの家より更に10年以上古いのだが、家や土地が広くなり、何より価格が安かった。
夫は仕事関係の知人から「誰か買ってくれる人がいないか」と言われたらしい。
夫は知人の紹介という事もあり、意外と乗り気だった。
安いといってもやはり大金で、うちの家が売れるかどうかも分からないのに私は不安だったが、その反面この場所から抜け出せる光が見えた気もした。
その翌週、早速夫と私はその家を内覧させてもらう事になった。
どうやら先方は早く売却してしまいたいらしく、もし購入するのならさらに値引きもあり得そうな雰囲気。
その家はほぼ想像通りだった。
やはりかなり老朽化していて、修繕費がかなりかかりそう。
ただ、うちの家よりもかなり広く、さらに庭も広いので解放感があった。
夫は気に入った様子で、私に「どう?」と何度も聞いてくる。
しかし……
私は気が進まなかった。
それは近所の雰囲気。
今と変わらない。
ズラリと家が並んだ住宅街。
道路の幅は狭くて玄関を開ければすぐに向かいの家の玄関がある。
さらに道路には、子供を連れて遊ばせている母親が立ち話をしていた。
同じ…今と同じだ。
もしかして、実際この場所に住んでみれば今とは雰囲気が違うのかもしれない。関わり方が浅いかもしれない。
だけどそれは実際に住んでみないと分からない事で、賭けだ。
そんな不確かなものに賭ける勇気がなかった。
ただ所属するグループが変わるだけで、意味がないような気がした。
それを夫に説明してみたが、夫には共感してもらえない。
夫は夫で、少し広い家に住めば、「万が一の時に親が一緒に住める」と言っている。
それを聞いて私は、余計に広い家はいらない気持ちになった。
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