見知らぬ番号からの着信

昨日、見知らぬ電話番号からスマホに着信があった。
誰だろう…。
一瞬迷ったが、私はその電話に出た。
「はい」
と私が出た瞬間、「良かった!電話に出てくれてありがとう!」と電話の向こうで興奮気味の声が聞こえた。
誰?と最初は分からなかったが、相手が言った。
「突然電話をしてごめんなさい。私、〇〇の倉田です」
彼女は先日私が退職した会社のパート主婦だ。だが本当に突然の電話で驚いた。
倉田さんは苦手なタイプでは無かったが、それ程関わった事がなく挨拶程度の会話しか記憶にない。
「え?どうしたんですか?なぜ私の電話番号を…」
何が何だか分からず、茫然とした。
その後、倉田さんの説明によると、私の電話番号は酒家さんに聞いたらしい。
酒家さんと私はこの何年間で関わる事が多く、個人的に会った事もあった為に電話番号を交換していた。
そして倉田さんの要件というのも、その酒家さんの事だった。
私のやっていた仕事の後を酒家さんが引き継いでいるらしく、そのやり方に問題があるらしい。
それにより、他のパート達の仕事に支障が出ているらしいのだが、酒家さんに意見出来る人がおらず、皆困っていると言う。
…だから?なぜその話を私に?
パート達が困っている様子は手に取るように想像出来たが、私に相談されても困る。
倉田さんが電話してきた意図が分からず、「はぁ、そうですか」と間抜けな返事をしていると、
「それで、皆でころりさんに一度聞いてみようという事になったんです」と言う。
倉田さんが言うには、私が一応その仕事の担当者だった為、酒家さんのやり方で問題がないか、私に確認してみようという事になったらしい。
そこで私が「間違っています」と言えば、彼女達は酒家さんに、「ころりさんに確認したら違うと言っていました」と言うつもりだと。
……何だかこれって私が巻き込まれている⁉
それにわざわざ辞めた人に電話までかけてくるのが凄いなぁ…と思った。
相変わらず女性ばかりの職場は大変だ。
自分達がいかに火の粉を被らず事を改善しようかと必死なのがよく分かる。
だが正直なところ、そんな女性同士のいざこざに巻き込まれたくない。
本当に問題があるなら上司に相談するべきであり、私に電話をかけてきても根本的な解決にならない。(と言いつつ、上司が頼りないのは私もよく分かる)
「ごめんなさい、私には何とも言えないです」
思うところは色々あったが、とにかく口出ししない事、そう自分に言い聞かせた。
倉田さんは「出来ればころりさんから酒家さんに電話して…」と言いかけていたが、私にその気が無いのが分かると、がっかりした様子でそのまま電話が切れた。
冷たかっただろうか。
電話を切った後、なぜか寂しい気持ちになった。
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