介護の義務感と圧し潰されそうな心

昨日の朝早く、実家の母から電話があった。
「どうしたの?」
早朝だったので急にどこか具合が悪くなったのかと思いそう聞くと、「今日は検査をしたいから9時までに病院に行きたいんだけど」と言う。
年々、実母との関係が悪化している私。
こういう言葉を聞いても心配よりも気の重さしかない。
この検査は過去に何度も母は経験しており、私が一緒に行けない時には一人で検査を受けた事もある。
付添が必要だと病院から言われている訳でもないのだから、いちいち私に頼らず一人で行って欲しい。
「朝9時から病院に行けば、昼頃には検査も終わってランチが出来るでしょ?」
そんな事を考える余裕がある病人に、どうしても同情する気持ちになれない。
私が準備をしてわざわざ実家まで行く道のりを考えれば、タクシーで行った方がずっと早いのに。
私が病院に付き添ったところで、母はしっかりしている為、いつも受付や医師との会話も人一倍ハキハキと喋り過ぎるぐらい喋っている。そんな様子を私はただ黙って見ているだけだ。
だが「タクシーで行けば?」の一言が言えず、「じゃあ今から用意して行くわ」と答えた。ただただ娘としての義務感。
それでも気持ちが落ち込み苦痛で、安定剤を服用せずには実家に行けない。母と会えない。
私は安定剤を服用し、「何でも聞き流すんだ」と自分に言い聞かせて実家に行った。
案の定、病院までの道中も、病院での待合でも、ずっと母は喋りっぱなしだった。
どれだけ最近体調が辛いのかという話。
だがそんな話さえも聞くのが苦痛で仕方がない。
体調不良の話をする時でさえ、母の口調が強く、全く弱さを感じないから。私が口を挟む隙もない。
さらに自分の体調不良の話で終わってくれればまだいいが、やはり私への干渉も始まる。
「仕事は?次はいつ出勤日?他の仕事は探しているの?この前知り合いが良かったらころりに仕事を紹介するって言ってくれてたけど」
本当にどこが体調不良なの?と言いたくなる。
自分の事だけ考えていて欲しい。
そして話題は犬の事になり、「今日は留守番をさせてきたの?」と聞かれたので、そうだと答えると、
「あなた達は過保護過ぎるわ。犬は毎日一緒に居過ぎると留守番が苦手になるのよ。もっと突き放しなさい」と言われた。
母は以前から犬の育て方にまで口を出す。
これがもし子供ならどれ程だっただろうと思うとゾッとする。
そもそも、今留守番させているのは誰の為だと思ってるの?犬とどんな暮らし方をしようが私の勝手でしょ!
そう言いたい。だが言ったとこで母なりの正論が返ってくるだけ。
私は何も言わず、ひたすら聞き流した。
検査が終わり、「ランチどこに行く?」と母が嬉しそうに言ったが、「私は帰る」と言うのが精一杯。
するとまた母が、「老人は寂しいものなのよ。若い人には分からないと思うけど。私もあなたぐらいの年齢の時には、頻繁に実家に帰ってよく母親の話し相手をしてあげたわ」
と言い始めた。
私はこれ以上その場にいたら号泣してしまいそうで、そのまま逃げるように帰ってきた。
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