不適合





―――前回の続き。

疲れた。

いきなり仕事をする事になり驚いたが、意外と覚える内容が多い事にも驚いた。
すぐ慣れるのかもしれないが、ただ単純に入力するだけではなく、内容によって一定の法則がある。それを確認するのがかなり面倒。

だが、仕事がないと悶々としていたものだから、どんなものであれ仕事が出来るという事が嬉しかった。納期は3日後。急がなくては。

しかしこれがなかなか進まない。
私は入力自体は速い方だと思うが、それでも預かった資料全て仕上げるのに二日かかった。


そして何より、ひたすらキーボードを打ち続ける事がこれ程疲れるのかと実感した。

外勤めしていた時も、一日中パソコンは使用していた。だがそれ以外の仕事もある為、意外と他の動作も多い。
その違いがこれほど疲れに差があるのかと、ガチガチに凝った肩を擦った。

その後、完了した仕事を会社に提出した。

担当者は確認後、「この調子で出来そうですね」と言い、私の返答を待つまでもなく、「では次の資料をお渡しします。納期は三日後で」と言った。

また三日後……。



げんなりと肩を落とす。

首、肩、腰がガチガチで、やっと一つ納品したと思ったのに、この体のまま引き続き入力が始まると思うとウンザリした。
もう到底続けられないと思ったが、始めたばかりで辞めるというのも言い辛い。

私は黙ってその資料を持ち帰り、その後も3日毎に納品、預かりを繰り返した。

その会社の給料は、半月ごとに月二回支払われる。
半月過ぎた時、初めての給料が通帳に振り込まれた。

その額を見て溜息が出た。

あまりに少なすぎた。時給換算すると缶ジュース2本買うのが精一杯。
確かに誰でも出来る在宅ワークはこんなものだろう。
だが納期に追われ、身体が疲れ切った上にこの収入。何より全く遣り甲斐がない作業だという事が私にやる気を失わせた。

次の納品日、私は担当者に辞めさせて欲しいと告げた。すると、

「あー、残念。あなたは続けてくれそうだと思っていたのに」と言われたので、

「他に一緒に説明を受けた方々はどうされたのですか?」と聞くと、

「ほとんどの方が1回目の納品時に辞めちゃったわよ」と担当者は笑った。

この仕事は向き不向きがあるので続く人は何年も続き、そうでない人は1日で辞めてしまう。
だから大量に採用してどれだけ残ってくれるかが問題なのよねと担当者は言った。

辞める時になり、あの不愛想に感じていた担当者とこんな話題が出来るようになろうとは。

そうして結局投げ出してしまったキーパンチャー。
私は向いていない人だったのかもしれない。




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Posted byころり