スーパーのレジで働き始めた理由

スーパーで会ってしまった近所の主婦。
夕飯の準備をし始めた時、マヨネーズが無い事に気付いた。
会話もそこそこに私は帰りたかったのだが、その主婦は誰かと話したくてウズウズしていたのか近所の人の事を話し始めた。
「ねぇ、岡田さん家の奥さん、このスーパーで働き始めたの、知ってる?」
え?そうなの?それは知らなかった…。
そもそも近所付き合いをしていないので私が知る由もない。
しかしそれを聞いて私も意外だと思った。
岡田さんといえば、ご主人はエリートで、奥さんは専業主婦のイメージがあったから。多分20年以上、ずっと専業主婦できたのではないだろうか。
「でね、レジで午前中のシフトに入ってるから気を付けてね」とその主婦は言った。
会ってしまうとお互い決まずいので、その時間帯にこのスーパーに来るのは避けた方がいいと言うのだ。
しかしそもそも私は滅多にこのスーパーに来ないのでその心配はない。
そして続けてその主婦は声を潜めて言った。
「スーパーのレジの時給で働くなんて、やっぱり岡田さん家って余裕があるのね」
私はその言葉の意味が分からなかった。
私はどちらかと言えば逆だと思ったのだ。
余裕がある暮らしに見えて、働き始めたという事は経済的に大変になってきたのかもしれないと。
しかしその主婦の話によると、岡田さんは結婚するまでは看護師をしていたらしい。
「看護師の資格があるのに、わざわざ時給の安いレジで働くなんて、普通あり得ないでしょ?」
彼女によると、安い時給で妥協出来るのは生活に余裕がある証拠だと言う。
……そうだろうか。
仕事を辞めてからブランクがある、家からの近さを優先、残業が出来ない…など、色々な理由があるかもしれないのに。
少し働き始めただけでこんな風に詮索されたり噂されるのだと思うとウンザリする。
私も何を言われているか分からない。
よく読まれている記事