治療を続ける事が重要らしいけれど

――前回(▶評判の良い整体院)の続き
その整体院は想像していたより広くて綺麗だった。
HPも無く、古い整体院だと聞いていたし、ここまで来る道のりが辺鄙だった事もあり、小さな古い建物を想像していたが、目の前にあるのは近代的なお洒落な建物。どうやら整体師の自宅を兼ねているらしい。
中に入ると私と同年代らしき女性が出迎えてくれた。
完全予約制なので、他の患者と出会う事は無い。
そして治療室に入ると、一人の男性がデスクでパソコンを見つめていた。
「宜しくお願いします」と私と義母が挨拶をすると、その男性はこちらを見た。
50歳ぐらい。見た目は体育会系。茶髪で雰囲気も明るそうな人。この人が整体師のようだった。
私の苦手なタイプに見えた。
いやいや、先入観を持ってはいけない。それに私は付添なのだから関係ない…と自分に言い聞かせた。
そしてまず整体師は義母の問診を始めた。
痛みや症状の話だけではなく、普段の生活、食事の好みや睡眠時間、入浴時間まで細かく質問している。
その問診だけで何と30分近くかかり、じっくり診察してくれるのはここまで来た甲斐があったと思った。
義母の方も話を聞いてもらうのが好きなので、嬉しそうに聞かれていない事まで話していた。
その後、いよいよ治療。
脚が悪いから脚だけを診るのではなく、まずは全身から治療していくらしい。
と、ここで付添の私は「待合で待っていて下さい」と、外に出された。
そこで待合の椅子で雑誌を読む事にしたのだが、すぐに診察室から義母の声が。
「痛っ!」
と何度も叫んでいるのが聞こえる。
あまりに痛そうに「痛い痛い」と言っているので、心配にもなるし怖くもなった。とても雑誌に集中出来ない。
治療は30分程で終わり、出てきた義母を見ると顔は汗にまみれ、来る前よりもやつれたように見えた。
「最初は続けて通院して下さい」と言われ、また3日後に行く事になった。
本当に効果があるのだろうか。
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