終わらない人間関係

夫の実家に行くと、近所の老人が来ていた。
80代の女性だが、うちの義母と気が合うのか時々義母の話題に登場するし、何度か私も挨拶を交わした事がある。
その80代女性、佐々木さんは息子夫婦と同居しているのだが、最近デイサービスに行き始めたと、少し前に義母から聞いていた。
なので私はここぞとばかりに、「デイサービスはどうですか?」と話しかけてみた。
息子夫婦に迷惑をかけない為に、少しでも介護サービスを利用しようというその心構えが良い。
義母にもそういう気持ちを持って欲しいと思い、あえてその話題をしてみたのだ。
すると佐々木さんが言った。
「あんな所、二度と行かないわ」
…しまった。何だか雲行きが怪しい。
この話題は義母に逆効果かもしれないと思ったが時すでに遅し。
私が来る前からその話題をしていたらしく義母も、
「色々様子を聞いていると、私も絶対そんな所行きたくないわ」と共感していた。
そして佐々木さんが言った。
「お遊戯とか、ゲームとか、子供扱いなのよ、バカにしているわ」
佐々木さんの話によると、息子に説得されてしばらくデイサービスに通ったものの、毎回ゲームなどをさせられ、その内容も単純で子供扱いされている気分になると言う。
「そんな事やりたくもないのにね」
聞いていると、嫁としては「困ったな、大人しく行ってくれればいいのに」と思うし、馬鹿にされているなんて思わず、相手をしてもらえる事を有難く思えばいいのに…と思う。
しかしその一方で、一人の人としては「分からなくもない」と思った。
確かに私も自分がいつかデイサービスに行く事を想像すると、この性格で今更皆に混じってゲームだとかお喋りだとか…ウンザリする。
もしデイサービスに行くとしても、一人隅の方で本を読んだりしていたい。
と、一人でそう出来ないのかと佐々木さんに聞いてみた。すると、
「別にゲームを強制させられる訳ではないけど、その場にいたら断り辛い」と言う。
あぁ…80代になってまでそんな事を気にしなくてはならないのか。
つくづく人間関係に終わりはないと実感した。
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