痛みの消えない毎日

八木亜希子さんが線維筋痛症だという報道を見て、私は以前の自分を思い出した。
私は以前、体の痛みに何年も苦しんだ。
そもそも鬱になった原因がその痛みからなのか、鬱だから痛みを感じるようになったのか、どちらが先なのか分からない。
最初は痛みを軽くみていた。
いつか治る。こんな時もあるだろう…ぐらいに。
だが時々だったその痛みが、気付けば365日24時間消える事が無くなっていた。
最初は一か所だった痛みも、あちらもこちらも痛いという風に痛い場所が広がっていった。
大袈裟ではなく痛みで歩けずトイレにも行けない日もあり、寝ていても痛みでビクッと飛び起きる日もあった。
整形外科ジブシーになったが、どこに行っても大きな異常はなし。中には股関節や頸椎の疾患があると指摘する医師もいて、それを手術すれば痛みは消えるかもしれないと言われたが、「かもしれない」ものに賭ける勇気は無かった。
食事をする5分程の時間も痛みで座っていられない。
テレビを見ていても痛みで集中出来ない。
寝ようとしても常に痛みが気になり、私の頭は24時間痛みで支配されていた。
有名な医師を探して遠方の病院まで行ったりもしたが、結果は同じ。
それでも私は一度も線維筋痛症だと言われた事は無かった。今でも何だったのか分からない。
毎日泣いていた。
先の見えない、痛みの消えない毎日が辛かった。
そして周囲には理解されなかった。
義母や実母に、
「気にし過ぎ」
「誰でも痛い時はある」
「どう痛いのか説明してみて」
「心配しているから言ってるのよ?」
そんな事を言われる度、私の心は縮み痛みは増した。
痛みを他人に分かってもらうのは難しい。
ある日実母に、「痛いのは分かるわよ」と言いながら次の瞬間、「今からランチに行こうよ」と言われた時、何を分かってくれているのだろう…と思った。
私はその後、抗鬱剤を服用する事で劇的に痛みが楽になった。
だが時々、今でもふと痛みを感じる事もあり、そんな時はあの辛い日々の記憶が蘇り怖くなる。
あの頃ある治療者が言った。
「ずっと同じ日は続かない。いつか変わる日がくるから」
今でも何か辛い事がある度、その言葉を思い出すようにしている。
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