入荷扱い

今日は愛犬をトリミングに連れて行き、その帰りにホームセンターに寄った。
他の店ならペット禁止がほとんどだが、ホームセンターはペット同伴OKなので嬉しい。
私は愛犬を抱き、店内をウロウロと歩いた。
ホームセンターに来た目的は、愛犬の為に温かい洋服を買いたかったから。
最近老化のせいで毛量が減ってしまったうちの子。
肌が透けて見える程になり、暖房を切っている時間帯などには何かを着せた方が良さそう。
そしてペット用の洋服売り場に行く途中、子犬、子猫の売り場を通った。
すると突然、店員に声をかけられた。
「可愛いワンちゃんですね!」
このホームセンターの中にはペットショップが入っているのだが、なぜかこのショップ、店員の数がやたら多い。
客はまばらなのに、店員だけがずらりと並んで立ち、暇そうに談笑していた。
私に声をかけてきたのは40代ぐらいの女性で、私が抱いている愛犬に話しかけ、優しく撫でてくれた。
するとうちの犬は気を良くしたのか、尻尾を振り始めて人懐っこさをアピールするものだから、店員も「あら、喜んでくれてるの?可愛いね~」と、さらにうちの犬を抱こうとするものだから、私はしばらくその場にいる事となった。
そんな事をしていると周囲にいた暇そうな店員達まで寄ってきて、「何歳ですか?」「まだまだ元気そうですね」などと会話が始まった。
人が苦手な私だが、なぜかペット関係だと人が変わったかのように誰とでも平気で話せる。
そしてふと私は販売されている子犬や子猫を見た。
まだどの子も生後2~3ヶ月だろうか。小さくて可愛い。
しかしいつも思うが、そんな冷たく硬いケースの中で、一人で入れられている子達が可哀想でならない。一番親と一緒にいたい時期なのに。
すると最初に話しかけてきた40代の店員が言った。
「同じ犬種のワンちゃんが昨日入荷したところなんですよ」
うちの犬と同じ種類の犬を指差してそう言った。
しかし…「入荷」。
その言葉に思いっきり違和感があった。嫌悪感に近いかもしれない。
そしてその指差された犬の価格は39万円だった。
私が黙ってその子犬を見つめていると、続けて店員が言った。
「年末セールをしているので、ここからお安くなる可能性がありますよ」
いやいや…。
やはりこういう会話が受け入れ辛い。
そもそもいつの間にここまでペットの価格が高くなってしまったのか。
ペットを販売する事自体反対だが、それでも昔はこれ程高くもなかったし、私が子供の頃などは売れ残った犬を父親が無料でペットショップから引き取ってきた事もあった。
今ほど商品扱いが強くなく、最後には誰か引き取ってくれると助かるよ…という緩さがあったように思う。
今はまるでペットがブランド化しているような気がする。
私は愛犬を抱いて、そのままその場を立ち去った。
帰宅後は愛犬に洋服を着せ、満足気な顔をして眠る様子を見て癒された。
そしてあの冷たいケースの中の子達の顔が目に浮かんだ。
あの子達も早く人の温もりを感じて欲しい。
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