職場で泣くなんて恥ずかしい

義実家にいる時、義母が呆れたような声で言った。
「ころりさん、まだ仕事に行ってるの?」
先日、用を頼まれた時、仕事を理由に断ったので気を悪くしているのだ。
「えぇ、まぁ…時々ですから」
と、義母に言い訳っぽく返す私。
義母の前では仕事に行くのが悪い事のようになってしまう。
すると義母が言った。
「仕事に行っても楽しい事なんてないでしょう?」
まるで最近の私の職場での様子を知っているかのような義母の言葉にドキッとした。
私が黙っていると義母が、
「近所の人がパート先で泣かされたって言っていましたよ」と言った。
話を聞くと、その近所の主婦は60歳前後らしいのだが、パート先で上司に怒鳴られ、思わずその場で泣いてしまったらしい。
その事を義母に話し、「早く仕事なんてやめたい」と愚痴っていたと言う。
ただ生活の為に辞める訳にもいかず、泣きながらでも続けているらしい。
義母は言った。
「60歳にもなって怒られて泣くなんて…情けないでしょう?」
その義母の言葉に私はモヤッとした。
「情けない」という言葉はまるで自分に言われているような気がした。
「お義母さん、職場では50代でも60代でも怒られたり泣いたりする事はありますよ」と私は言った。
実際、私も職場で50代の女性が上司に怒鳴られて泣いているのを見た事がある。
以前の職場では60代の女性社員二人が喧嘩になり、二人で怒鳴り合った結果、最後に一人が泣いていた。
その事を義母に話すとさらに義母は呆れた口調で、
「私ならそんな仕事、すぐに辞めるわ」
と言い、さらに「職場で泣くなんて恥ずかしい。私なら何があっても泣かないですよ」と言った。
その自信はどこからくるの?
義母はほとんど働いた事がないというのに。
外に出れば怒られる事も泣いてしまう事もある。
だがずっと専業主婦で、他人と関わる事もほとんど無い義母に分かったような言い方をされると腹が立った。
私だって全く職場で上手くいっていない。
今でも辞める事を考えている。
だけど専業主婦になる事に躊躇するのは、こういう義母への反発心なのかもしれない。
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