60代で犬を飼い始めるという事

その後、愛犬を亡くした女性と今後の話になった。
最近、日が落ちるのが早くなった。今日も明るいうちに行かなくては…と思い、16時頃に慌てて愛犬を連れて外に出た...
「そのうち次の子を迎えては?」
まだ亡くしたばかりでこんな話題をするべきではないかと迷ったが、その女性があまりに悲しんでいるのでついそんな言葉が出た。
しかし彼女は言った。
「もう無理だわ。60代でまた新たに犬を飼うのは責任が重過ぎるし自信がないわ」
確かにそうだ。
私自身、今の愛犬がいなくなった後、次の子を悩むと思う。アラフィフでさえそうなのだ。もし自分が一人暮らしになったら?もし自分が病気になったら?そんな事を考え始めると簡単には飼えない。
特に私には子供がいないので、もしもの時に愛犬を不幸にしてしまう不安があった。
保護犬の中には、高齢の飼い主が飼い続けるのが困難になり、仕方なく保健所に連れてくる事も多いと聞く。そんな事耐えられない。
子供がいるから安易に飼えるという事でも無いとは思うが、その子供の意見によっては可能かもしれないし、少なくとも親が飼えなくなったペットを子供が引き取るのが無理でも、飼い主を探してもらう手助けをしてくれるかもしれない。
実際、私の母は猫を飼っているが、母にもしもの事があれば、私が飼うか、新しい飼い主を探すか…どちらにしても猫が最後まで幸せに過ごせる方法を私が考える事になる。
その60代の女性には娘がいる。
それも未婚で親と同居しており、40代。
さらにその60代女性には他にも近所に住む子供が2人おり、そこには孫が何人もいる。
子供も孫も多い。皆まだ若く、それだけの頼れる家族がいれば、親に何かあった時には子供や孫が何かしら協力してくれるのでは?
確かにその60代女性が新たにペットを飼う事を躊躇する気持ちは分かるが、逆にまだ60代なのに、この先ペット無しの暮らしで、ただ老いていくだけ…と考えると老後がとても長く思えた。
しかし彼女は言った。
「子供には子供の生活がある。孫にも孫の未来がある。私の事で迷惑はかけられないわ」
そして言った。
「犬を飼いたいって言うのは老人のワガママになるでしょう?」
私はその女性がそこまで子や孫と線を引いて自立した考えである事に驚いた。
子供や孫と一緒にいる姿を見かけた事もあるが、子や孫も皆犬好きな人ばかりで、犬を飼う事は老人のワガママというより、その家族の場合は、「皆で一緒に飼う」感覚に近いのかな…と想像していたので。
子がいても孫がいても、老人が迷惑をかけたくない…と思う気持ちは皆同じ。そう教えられた。
★コメントお返事
>Mさん(11/12 16:31)
コメントを読み、驚き、私までまた泣いてしまいました。
このタイミングでこのような記事を書いた事、きっとMさんの愛犬がそうさせてくれたのかもしれません。保護犬との良い出会いがありますように。
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