仲間はいるけど心からの友人はいない
少し前に美智子さんからLINEが来た。
美智子さんは心療内科で知り合った人だ。
その日の心療内科は混んでいた。待合室には患者がいっぱいで、皆が身を小さくしながら座っている。...
見知らぬ人だった美智子さんとLINEを交換し、その後後悔し、夏には突然の訪問があったり…
これ以上近付いてはいけないと思い始めていたが、その後プッツリと連絡が来なくなった。
近付きたくないと思っているのに全く連絡が無いと、嫌われたのかな…と気にする自分がいた。
また心療内科で会った時に気まずい空気になりたくなかった。
そんな美智子さんからLINE。
その時の文面は簡単な挨拶のみで、「体調はどうですか?」と当たり障りのない会話で終わった。
私は取り合えず嫌われていなかった事に安堵していたのだが、その後すぐにまた美智子さんからLINEが来た。
彼女にしては珍しく、「今落ち込んでいて話を聞いて欲しい」と書かれている。
いつもは逆で、「よかったら私が力になりますよ」と言う人なのだが、自分から助けを求めるとは余程心が疲れているのだろうか…と思った。
かと言って私の方から「会いましょう」と言うのは躊躇し、そのLINEの中で「何かあったのですか?」と話を聞いた。
するとどうやら親子関係が上手くいっていない様子。
詳しくは分からないが、母親と話すのが辛いようだ。
分かる。
その少ない文面から、私はその重苦しい気分を察した。
それも美智子さんは母親と一緒に住んでいるというのだから、その逃げ場のない辛さを想像するだけで私なら耐えられない。
私自身も日々悩んで葛藤している事なので、美智子さんにアドバイスなど出来る立場でもなく、ただ、「お友達の真知子さんに相談されてみては?」と話を振った。
あれ程「仲間がいるから救われる」と何度も私に話していた美智子さん。
それ程助け合える仲間なら、こんな時こそ話を聞いてもらい、楽になれるのでは?
だが美智子さんの返事は、「そうですね」と答えたものの、最後まで元気のない会話で終わった。
LINEの文面だけで声は聞こえないのに、元気のなさが伝わってくる…そんな気がした。
結局仲間って何なのだろう。
私は美智子さんが必死に、「仲間、仲間」と言っている割には、心からの友人はいないのではないかと思った。
よく読まれている記事