本人以上に騒がれると負担になる

昨年から義父の目の調子がずっと悪く、そのせいか義父の機嫌が悪い日が多い。
元々無口な上に、最近は口を開くのは文句を言う時だけ…という感じなので、義母は二人きりでいるのが辛いと言う。
それなら少しの時間でも義父と離れられるなら嬉しいだろう…と思うのだが、そうでもないらしい。
義父の眼科通院日。
私は義母に言った。
「お義母さんは家で留守番していて下さいよ」
義父の通院には毎回義母も付き添う。
正直、私が付き添うのだから義母は来なくていいんじゃないの?と思うのだが、「妻が行かなくてどうする」と義母は言い、毎回一緒に来るのだ。
これはいつまで続くのだろう。
足が悪い義母が一緒に来ると、こちらは余計に疲れる。さらに隣でずっと喋りっぱなしなので、その相手で疲れる。
昔、私の祖父や祖母の通院に付き添った事があるが、その時に祖父母は互いに付いて行こうなんて言わなかった。
80代にもなると、自分の事で精一杯で、連れ合いの通院に一緒に行きたいという気持ちなんて無いように見えた。
義母もいつかそうなるのだろうか。
それとも性格の違いか。
義父は光が眩しいのが辛いらしく、テレビも見る気がしないし、外出しても太陽が嫌な様子。
何をしていても目が辛いので、イライラが溜まっている。
そんな義父の訴えを聞いて、医師は言った。
「どうします?手術します?」
医師が言うには、どうしても手術しないといけないという状況でもなく、最終的に本人が決める事だと言う。
「生活に支障が出て困るなら手術してもいいかもしれませんね」
しかし義父は迷っている。
確かに、「どうします?」とか、「してもいいかも」なんて緩い言い方をされると、「はい、手術をします!」と決断する気になれない。
それも医師は、「別にまだしなくてもいいですけどね」と言うのだから、余計に迷うだろう。
そして義母は手術と聞くだけで怖がる。
「先生がしなくていいって言うんだからしなくていいわよ」
頻りにそれを繰り返し、義父が答える間もなく、「また帰って様子を見ます」と義母が返事をし、診察室を出た。
帰宅途中の車内、義父は一言も話さない。
やはり義母の独演会。
「私は手術なんて絶対に嫌よ」
「怖いわよ、目なんだから」
私は義父の事ながら、義母の声を聞いていると気分が凹んだ。
ただでさえ辛い時に、こう捲し立てられるとストレスでしかない。
義父の機嫌が悪いのは、目のせいばかりでは無いような気がした。
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